FRBの利上げと米景気後退の懸念、ボルカー・ショックが再来する?
パウエルの発言の真意を読み取るのは難しくない。
つまり、インフレを抑え込むためなら、FRBは景気後退を許容する可能性がある。たとえ経済に下降傾向が見えても、CPIの上昇ペースが鈍化しない限り、FRBは利上げをやめないはずだ。
言ってみれば、これは過去への回帰だ。1979年、当時のボルカーFRB議長は高インフレ収束のために「平均的アメリカ人の生活水準を下げなければならない」と発言したことで知られる。その政策によって景気は深刻な低迷に陥り、失業率が10%を超えたが、物価は抑制状態を取り戻した。
FRBの決断が正しい可能性はある。
米国民はインフレに憤り、誰かが何らかの手を打つことを求めているようだ。経済的コストを伴っても、大胆な対策をいとわない姿勢を示すことで、FRBはインフレを抑え込もうとしている。
それでも当分の間、アメリカ人は覚悟すべきだ。失業率急上昇の危機になっても、誰も助けにきてはくれない、と。
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