ビットコイン値上がりは日本勢が牽引? だが長期保有者は「弱気」転換の兆候

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<最近のビットコイン値上がりは円建ての取引が牽引したとも見られるが、オンチェーン分析では長期保有者が自信を失っている兆候が見られる>
ビットコイン(BTC)の価格は4万7000ドルを回復し、2022年のリターンがプラスに転じました。ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる不透明な状況が続く中、最近の円安によって価値保存手段としてのビットコインへの需要が高まったのか、円建てのビットコイン取引がマーケット全体を牽引したという見方が出ています。
ただ、クラーケン・インテリジェンスの最新のオンチェーンレポートによりますと、ビットコインの長期保有者が自信を無くし始めたという兆候が出始めました。ビットコインに対する過度な楽観論には注意が必要かもしれません。
オンチェーン分析は、仮想通貨の取引量やアドレス数などブロックチェーン上で確認できる取引記録の傾向を分析して現在の相場動向を読み解く手法です。今回は、取引所へのビットコインとイーサリアムの流入数の増減に注目します。
ビットコインのASOLがトレンド転換
まず、ビットコインのASOL(Average Spent Output Lifespan)をみてみましょう。ASOLは、ビットコインの残高算出に使うコンセプトであるUTXOの平均寿命を指します。
UTXOは、Unspent Transaction Outputの略称で、直訳すると「未使用のトランザクション出力」です。簡単に言いますと、取引をした後に残るビットコインを指します。
例えば、Aが10BTCを持っていてBに3BTCを支払います。この時、ビットコインのブロックチェーン上では、Aが10BTCを支払い、そのうち3BTCがBに送られ、残りの7BTCがAに送り返されるというプロセスを経ます。この7BTCが、UTXOです。
直近では、ビットコインのASOLの30日間移動平均が5ヵ月ぶりの低水準となる33.1日まで下がりました。
ASOLが33.1日をつけたのは2020年11月以来で初めてです。
ASOLが長ければ、ビットコインの長期保有者の全体に占める割合が増加していることを意味します。対照的にASOLが短ければ、日々のビットコイン支払いが活発になっていることを示唆します。
5ヵ月ぶりの低水準が意味するのは、ビットコインの長期保有者による自信の喪失かもしれません。
ホドルウェーブ
次に、以前に何度か紹介したホドルウェーブで、ビットコインの長期保有者のセンチメントが弱気になっているのか確認をしてみましょう。
クラーケン・インテリジェンスは、ある一定期間で動かなかったビットコイン供給量の全体に占める割合をビットコインの「ホドルウェーブ」と呼んでいます。HODL(ホドル)は長期保有者を意味します。