最新記事

円売り

円売り加速、1ドル128円前半に 130円超えも目前か

2022年4月19日(火)17時07分
ドル高円安のイメージ

4月19日、午後3時のドルは、前日のニューヨーク市場終盤(126.97/01円)に比べて大幅高の128.15/17円で推移している。写真は都内で2010年9月撮影(2022年 ロイター/Yuriko Nakao)

午後3時のドルは、前日のニューヨーク市場終盤(126.97/01円)に比べて大幅高の128.15/17円で推移している。米金利が高水準で推移していることや原油価格が再び上昇基調にあることなどから円安基調は根強く、円安に言及した要人発言などへの反応も鈍くなってきている。ドルは連日2002年5月以来の高値を更新しているが、きょうも騰勢は衰えず東京時間に1円以上、上昇した。

ドルは朝方から127円前半で堅調で、午後1時過ぎには一時128.23円と日中安値(126.98円)から1円以上、高い水準まで上値を伸ばした。高値を付けた後も128円台をしっかり維持している。

三井住友ⅮSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏は「かなりドル高が勢いづいており、買われ過ぎている状況」だと指摘。手掛かりとされている日米の金利差拡大は新しい材料ではないため「投機的なドル買いの動きの印象が強い」という。

市川氏は、短期的には利益確定売りが出る可能性はあっても「目先は130円台まで上昇する可能性もあり、そう遠い水準ではない」とみている。

ここのところドル/円は急ピッチで上昇していることから政府関係者などからは円安をけん制するような発言が相次いでおり、きょうも鈴木俊一財務相が円安について「プラスの面もあるが、現状の経済状況を考えるとデメリットは強い」などと述べた。

しかし「インフレ抑制を全面に打ち出している米国側が、円買い介入に協調する流れにはならないのではないか」(SMBC信託銀行のマーケットアナリスト・合澤史登氏)とみられることなどから、政府・日銀が実際に円買い介入に踏み切る可能性は低いとの見方が多くなっており、口先介入の効果は徐々に薄れつつある。

その中で注目されるのが、今週20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行われる予定の日米財務相会合で、「もし(会合後に)円安抑制のために何か方針が示された場合は市場にとってはサプライズで、ドル高/円安の巻き戻しが起こるとみられる」(合澤氏)という。

クロス円でも円安傾向は強く、ユーロは一時138.14円と15年8月以来、英ポンドは166.57円付近と16年2月以来の高水準で取引されている。

日本以外の主要国は金融政策正常化に向けて進んでいるため「クロス円も円安が進みやすい状況が続きそうだ」(三井住友ⅮSアセットマネジメント・市川氏)という。

       ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 128.15/17 1.0771/75 138.07/11

午前9時現在 127.13/15 1.0778/82 137.04/08

NY午後5時  126.97/01 1.0780/84 136.91/95

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ミシガン大消費者調査、5年先インフレ予想4.1%

ワールド

米関税に「断固たる対抗措置」、中国国営TVが短文サ

ビジネス

米2月PCE価格+2.5%、予想と一致 スタグフレ

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中