シャネルと韓国の転売ヤーが熾烈な攻防 長引くコロナ禍で衝動買い高まる
韓国では新型コロナウイルス感染対策として海外旅行が制限され、免税品店で買い物を楽しめなくなった反動からか、国内でブランド品の需要が過熱しつつある。写真は16日、ソウルでシャネルの店舗に並ぶ買い物客(2022年 ロイター/Heo Ran)
韓国では新型コロナウイルス感染対策として海外旅行が制限され、免税品店で買い物を楽しめなくなった反動からか、国内でブランド品の需要が過熱しつつある。
こうした中で仏高級ブランドのシャネルは昨年7月、転売目的で大量購入する客には商品を販売しない方針を打ち出した。転売業者もアルバイトを雇って店頭の行列に並ばせ、商品を手に入れようとするなど、し烈な攻防が繰り広げられている。
シャネルはロイターに、転売するためだけに商品を買いだめしようとする客がいると考えて監視を始めて以来、韓国の店舗で客の動きを見定めてきたと説明。「われわれは彼らの購入パターンを分析した結果、大量購入者を特定できた。この方針を実行してから、店頭の客足は30%減少した」と述べた。
同社は、実際にどうやって大量購入者だとみなしたのかや、国別の販売高を明らかにしてない。
世界的にブランド品の需要は拡大している。調査会社ユーロモニターによると、特に韓国は世界のブランド品売上高でトップ7の一角に食い込んでいる上に、トップ7のうち昨年の売上高が2019年を上回ったのは韓国と中国だけだという。
一方、シャネルのようなブランド品メーカーは商品の供給を厳しく管理して価値を維持するとともに、オンラインでは化粧品や香水などごく一部の商品しか購入できない仕組みを取り入れている。そのため韓国の首都ソウルの中心街では、どうしても商品を手に入れたいという人たちが夜明けから店先に長い行列をつくり、何とか商品を買おうとする「オープンラン」という現象が見られる。
ソウルのシャネルの店舗に並んでいたある客はロイターに「私は朝5時半に到着したが、既に30人余りの行列ができていた」と語り、それでも10時間近く後にようやく入店できた時にはお目当ての商品は売り切れていたと明かした。
そこで強まっているのが、転売市場での引き合いだ。韓国大手IT企業ネイバー傘下の限定品転売サイト「KREAM」では、シャネルの代表的なハンドバッグ「ミディアム・クラシック・フラップバッグ」が1月に1350万ウォン(1万1031ドル)で売られていた。これは通常小売価格より20%以上も高い。
垂ぜんの的
KREAMのような転売サイトにはさまざまなブランド品が売りに出されるが、シャネルはスイスの高級時計ロレックスなどと並んで特に垂ぜんの的になっている。韓国では結婚の贈り物として最も人気がある商品の1つであることや、主力ハンドバッグが頻繁に値上げされるのが理由だ。