世界のサプライチェーンに光明射すもコロナ前への回帰は期待薄
海運大手・マースクのソレン・スコウCEOはこのほど、港湾で再び働き始める労働者が増え、新しい船舶が運航を開始し、消費者は再びサービス消費を好むようになるとの想定に立って事業を進めていると述べた。
「今年のある時点で、もっと正常な状況になるだろう」という。
独海運大手・ハパックロイドも、第2・四半期に配送のボトルネックと運賃の高騰が和らぐと予想している。だが、海運業にとって大きな不透明要素は、いつになれば安心して納入スケジュールを立てられるようになるかだ。
海事調査会社シーインテリジェンスは、現在ほどの物流滞留は前例がないとしながらも、過去の経験に照らせば港湾と内陸地域の物流網が回復するのに8―9カ月を要するとみている。
同社のアラン・マーフィーCEOは「とは言え市場では、そうした軌道に沿って問題が解消に向かい始めた兆候は全く見られない」と述べた。
コロナ禍前には戻らず
全ての回復シナリオは、新たな問題が持ち上がらないことを前提としている。
トヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラーの親会社・ステランティスが10日、カナダのトラック運転者らによる抗議デモの影響で部品が不足し、北米の生産が打撃を受けていると発表したことは、こうした薄氷の状況を思い知らせた。
また、日本やドイツ、国際通貨基金(IMF)の高官らは、中国がオミクロン株の感染拡大を封じ込めるために「ゼロコロナ」政策が大々的に展開し、ボトルネックが悪化する可能性を懸念している。
消費者がサプライチェーン危機の解消を実感できるのは、しばらく先になりそうだ。しかも、物価や品物の入手しやすさがコロナ禍前に戻ることは必ずしも期待できない。
自動車その他のメーカー幹部らは、今年は原材料価格が幅広く上昇するとの見通しを持っているが、値上げによってその一部もしくは全部を価格に転嫁できるとの自信を示している。
米二輪車大手ハーレー・ダビッドソンは在庫の制約に対処するため、バイクの注文に予約制を取り入れた。
物流大手・DSVのイエンス・ビョルン・アンダーセンCEOは、物流は完全に混乱に陥ったため、何があっても業界がコロナ禍前に戻ることはないと断言。「私は正常化という言葉を決して使わない」と語った。
(Mark John記者)

【話題の記事】
・コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・日本のコロナ療養が羨ましい!無料で大量の食料支援に感動の声
・コーギー犬をバールで殺害 中国当局がコロナ対策で...批判噴出