急騰したガソリン価格は来年下がる? 鍵となるのはOPECプラスと米シェール業界
IEAは、来年第2・四半期に米国の原油・天然ガス液(NGL)の生産が48万バレル増えて年間の増加幅は110万バレルになると見込む。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の試算では、来年第2・四半期の原油・NGL増産幅は22万バレルとより低めだが、年後半に生産が加速するので年間の増加幅は125万バレルとなっている。
もっとも米シェール業界は、過去の原油価格の高騰局面ほど増産に前向きにはなっていない。投資家と株主からは以前よりも適切な資本配分の要求がずっと厳しくなり、生産能力増強投資をする企業は罰せられ、配当支払いや債務削減に注力する企業を高く評価している。
ゴールドマン・サックスのコモディティー調査グローバル責任者ジェフリー・カリー氏は、ロイター・コモディティー・トレーディング・サミットで「北海ブレント価格が83ドルで推移していながら、掘削リグの数は大幅に増加していない」と指摘した。
またシェール企業は人手や機械の不足に苦しんでいるほか、業界がパンデミックによる景気後退からようやく持ち直したとはいえ、増産に動くにはまだ需要動向に不確定要素が多すぎるとの声も聞かれる。
コンチネンタル・リソーシズのベリーCEOは最近の決算発表の電話会議で「不安定な供給超過市場になってもおかしくないところで、あえて過剰に生産することが、業界のどの関係者にとっても適切とは思わない」と語った。
先進国の低在庫がリスク
幾つかのOPEC非加盟産油国は増産に動いている。新興産油国の1つ、ガイアナは、エクソンモービルが運営する洋上設備で来年初めに生産能力を日量22万バレル拡大する方針。ブラジル国営石油会社ペトロブラスは、8月に生産を開始したサントス海盆の深海油田「セピア」で18万バレル生産を増やそうとしている。
ウッド・マッケンジーのバイスプレジデント、アン・ルイーズ・ヒトル氏は、カナダの原油供給も来年第1・四半期に約10万バレル増加する可能性があると述べた。ただ、同国の石油企業の生産姿勢も米国やOPEC同様に抑制的だと付け加えた。
ヒトル氏によると、来年第1・四半期に世界全体の原油供給は日量9980万バレルとなり、想定される需要の9890万バレルより多くなる。
それでもFGEは、先進国の在庫が6年ぶりの低水準にとどまっている以上、市場の需給バランスが早急に変化しないかもしれないとくぎを刺す。「原油価格は恐らく、先月のピークから下落傾向をたどる。しかし現在の在庫の低さにより、今後数カ月中は価格が上振れるリスクがくすぶり続ける」という。
(Stephanie Kelly記者、Noah Browning記者、Sabrina Valle 記者)
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