日本国民の給料がどうしても上がらない決定的な理由 経済要素のほかにも妨げる慣習がある
ジョブ型では、社員の1人ひとりの能力を明らかにするだけではなく、「あなたは、この仕事をこなす能力がありませんから、別の仕事についてもらいます。その仕事の給与はいくらです」と伝えなければならない(もちろん言葉はこれほど直接的ではなかったとしても)。
文化や慣例以外にも給与上昇を妨げる要因がある
また採用の際にも、「あなたはこの能力が欠如しているので、応募の仕事には就けません」と説明せねばならない。逆に、他社員よりも圧倒的に若い応募者がいて、能力を満たしているのであれば、古参社員と給与が同じになるだろう(あくまでジョブに値段がつくからだ)。
これは多くの日本の職場で困難であろうと、私は思う。
あくまで現場の感覚で①~③まで、日本人の給与が伸びない理由を書いてみた。これは日本の全職場にあてはまるわけではないし例外もあるだろう。それに生産性向上の重要性は無視できるものではない。ただ、文化や慣例の側面にも、無視できない給与上昇を妨げる理由があるように私には感じられるのだ。
坂口孝則(さかぐち・たかのり)
調達・購買業務コンサルタント、講演家
大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。著作26冊。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。日本テレビ「スッキリ!!」等コメンテーター。