収穫の秋迎える米農業 ここでも頭痛の種は「モノ不足」

米イリノイ州の農家、デール・ハッデンさんは困り果てていた。写真は収穫用コンバインの修理を待つオハイオ州ラベンナのデール・ネシングさん。11日撮影(2021年 ロイター/Dane Rhys)
米イリノイ州の農家、デール・ハッデンさんは困り果てていた。 コンバイン収穫機用のスペアタイヤが手に入らないのだ。収穫スタッフには、タイヤを傷つける金属屑を避けるため、今年の秋は路肩を走らないように注意した。
カンザス州のニュー・アグ・サプライでは、来春の植え付け期に向けた部品を今のうちに注文しておくよう顧客に要請している。またアイオワ州の農家コルト・ホラブさんは、毎晩、農機を納屋に入れて施錠している。ディア・アンド・カンパニー 系列の地元の農機ディーラーで、いまや入手困難となったトラクターの部品が盗まれる事件があったからだ。
アイオワ州バッキンガムで、4代続けてトウモロコシと大豆の栽培を続けているホラブさんは、「皆、農機を我が子のように大切に扱っているが、今のところ、部品の入手は運任せだ」と話す。
製造部門のメルトダウンは米国の中部地域に打撃を与えている。農機メーカーは数カ月にわたって半導体不足に悩まされてきたが、品薄は他の部品にまで広がってきた。サプライチェーンの問題は、今や米国内での食糧供給、さらには農家の収穫能力まで脅かしている。
農家では、農機が故障した場合の応急措置を見つけることに追われており、地元の溶接工や機械工を探しているという。農機オークションサイト「マシナリー・ピート」の創設者であるグレッグ・ピーターソン氏によれば、スペアタイヤの価格が高く入手困難になっているため、トラクターやコンバインをネットで購入しようとする農家が、タイヤ部分のアップの写真を要求しているという。
「収穫期が終わりに近づくにつれて、農機オークションに参加する農家は、本体ではなく部品を求めるようになる」とピーターソン氏は言う。「すでに、部品取り用に2台目の播種機や散布機を買おうかなどという話も出ているくらいだ」
入手難のために古い部品の再利用や補修を余儀なくされている農家もある。
ラミ・ウォーバートン、ボブ・ウォーバートン両氏がワシントン州西部で経営する小規模な溶接工場は、かんがい設備の部品からヒビの入ったブルドーザーのバケットまで、農家から入る修理の注文を何とかこなすのに手一杯だ。