最新記事

インフレ

ベネズエラがデノミ実施、通貨単位6桁切り下げ 前年比1743%のハイパーインフレで

2021年10月4日(月)09時47分
南米ベネズエラで米ドル価格で衣料品を売る女性

南米ベネズエラは、ハイパーインフレに対応し、通貨ボリバルからゼロを6つ取り、100万分の1に切り下げるデノミネーション(通貨単位の切り下げ)を実施した。写真は1日、カラカスの街頭で、米ドル価格で衣料品を売る女性(2021年 ロイター/Manaure Quintero)

南米ベネズエラは1日、ハイパーインフレに対応し、通貨ボリバルからゼロを6つ取り、100万分の1に切り下げるデノミネーション(通貨単位の切り下げ)を実施した。過去3年で2回目のデノミとなったが、経済危機の緩和にはつながらないとみられる。

企業や銀行では通貨の膨大な桁数にシステム上対応できなくなっていた。ベネズエラ財務観測所によると、前年比のインフレ率は1743%に跳ね上がっている。一方で、最低賃金は月給2.50ドルにとどまっている。

マドゥロ政権は2018年に通貨単位を5桁切り下げるデノミを実施。その10年前には故チャベス前大統領が3桁の切り下げを実施し、インフレ率を1桁に抑えると約束したが、達成できなかった。

ベネズエラ経済はドル化が進んでおり、これがデノミの効果を薄めるとみられる。ボリバルは既に、日常的な現金での買い物に使われなくなっている。

銀行のシステムはデノミに対応するため、1日早朝、計画的に停止されたが、その後は通常通り稼働している。

エコノミストのホセ・マヌエル・プエンテ氏は「ベネズエラ経済の不均衡は非常に深刻で、きょう(のデノミで)取られたゼロはすぐさま戻るだろう」と予想。「デノミはマクロ経済的には全く影響がない見通し」だとした。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、中距離弾道ミサイル発射と米当局者 ウクライ

ワールド

南ア中銀、0.25%利下げ決定 世界経済厳しく見通

ワールド

米、ICCのイスラエル首相らへの逮捕状を「根本的に

ビジネス

ユーロ圏消費者信頼感指数、11月はマイナス13.7
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中