グッチのバッグからダイソン家電まで...... 中国恒大が派手に販促した資産運用商品の実態とは
2019年、規制当局の取り締まりによってP2Pセクターが崩壊すると、エバーグランデ・ウェルスは個人向けに理財商品を売り始めた。前出の営業担当者と、理財商品を購入した恒大集団の従業員が明らかにした。
投資家を引きつけるため、この営業担当者は昨年のクリスマス商戦で、300万元以上の理財商品を購入した人全員にダイソンの空気清浄器やグッチのハンドバッグといったプレゼントを提供した。
営業担当者が見せてくれた小冊子では、理財商品は「着実なリターンを求める保守的な投資家」にぴったりの固定利付き商品、と位置付けられている。
事実上、恒大の商品
青島市のある建設会社は昨年11月、2種類の金融商品を販売した。1つは利回りが7%、もう1つは7.8―9.5%で、それぞれ1000万元と2000万元を調達する狙い。目論見書には、資金が建設会社の運転資金に充当されると記されていた。
目論見書によると、返済資金は発行体の利益で賄うか、もしくはエバーグランデ・ウェルスを運営する恒大集団の子会社が出すことになっている。発行体が返済できない場合でも、この子会社が元本と利息をカバーすると約束している。
前出の営業担当者の話では、青島市のこの会社は恒大集団のプロジェクトに関わっており、投資家への返済には同社からの支払いを充てる。つまり「事実上、恒大集団の商品だ」。
広東省の理財商品投資家らは、さまざまな政府機関に出した嘆願書で、恒大集団が自社プロジェクトに回すべき資金を不適切に利用し、リスクを十分に開示しなかったと訴えた。
恒大集団の許家印主席が2019年の中国建国70周年式典で堂々と座る姿に惑わされた、とも指摘。嘆願書には「投資家は共産党と政府への愛と信頼から恒大集団を信じ、恒大集団の理財商品を買った」と記されている。
(Zhang Yan記者、Tony Munroe記者)
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