「池袋家電戦争」に神奈川のノジマが殴り込み 迎えるビック、ヤマダは集客効果に期待も
神奈川県を地盤とする家電量販店のノジマが東京23区内への出店攻勢を続けている。写真は池袋で2020年7月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)
神奈川県を地盤とする家電量販店のノジマが東京23区内への出店攻勢を続けている。コロナ後も見据え今年に入って世田谷区、目黒区、大田区に出店し、26日には豊島区池袋の東武百貨店内に店舗をオープンした。ビックカメラが本店ほか多店舗を展開し、近接してヤマダデンキが「日本総本店」を構える激戦地で存在感を示せるのか。かつて「池袋家電戦争」とも呼ばれた攻防は新たな局面を迎えた。
メーカー販売員不在を強調、価格面も「全力で戦う」
池袋駅西口にある東武百貨店は、都内の百貨店では最大級の売り場面積を誇る。ターミナル駅直結の百貨店周辺では、エリア初進出となるノジマの開店が大々的に告知されている。郊外型店舗が比較的多く、最近ではテナント出店を加速するノジマでも百貨店内の店舗は池袋店で3カ所目と数少ない。しかし、メーカー販売員を置かず自社スタッフのみで接客するというノジマのスタイルは「客層にマッチする」(鈴木靖哲店長)とみて、広告でも差別化策として強調している。
大型店舗を構えるビック、ヤマダとの競合についても、鈴木店長は「価格面でも全力で戦う」と意気軒高だ。会員向けのポイント還元では、ノジマは商品の販売時のほか、来店のみでも付与することを「売り」としてきた。一定の制限付きながら、商品の検討段階や買い物ついでの来店でも積み増すことが可能で、顧客の囲い込みに活用する。
ノジマ池袋店は約2000平方メートルの規模で、婦人服売り場が中心の4階に陣を構えた。大通りに面した大型店舗とは立地条件が異なり、家電量販店の従来の常識では必ずしも有利とはいえないとされる。家電業界に詳しい細田立圭志BCN+R編集長は「ノジマはノウハウを持っているのかもしれない。成功するかどうか見ものだ」と話す。
攻防の激化、迎え撃つ側も集客効果に期待
池袋地区には、グループ企業のソフマップを含めビックが6店舗、ヤマダが2店舗を展開している。ビックの池袋西口店を除きいずれも東口の一帯に集中しており、ビック池袋本店とヤマダ日本総本店は通りを挟んではす向かいで対峙する。群馬県に本社を置くヤマダが日本総本店と名付けるほど力を込めた2009年10月末の出店時には、各媒体で「家電戦争」の見出しが躍った。