日本人が知らないMBAの真実──努力とお金をムダにしない必要条件とは
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英国国立アングリア・ラスキン大学MBA学位授与式 ExeJapan Business School提供
<グローバルビジネスの現場で評価される人材になるには、今やMBAホルダーであることが「当たり前」に。その第一歩となるMBAスクール選びだが、ここで国内的な視点に囚われない正しい選択をできるかが最も重要な分かれ道となる>
キャリアアップのためにMBAの取得を考えるビジネスパーソンは多いだろう。取得するなら海外か国内か。コロナ禍以前より後者が増えているが、MBAについてあまりにも間違った認識が氾濫状態のため、国内でMBAを取得するときには注意すべき点がある。
世界40カ国で国際ビジネスを経験し、自身もフランスでMBAを取得。現在は日本でMBAの取得支援をしている国境を超える高等教育スペシャリスト、株式会社エグゼクティブ・ジャパンの喜多元宏氏に話を聞いた。
そもそもMBAとは何なのか
国内で得られる機会が増えたため、MBAの認知度は高まっているものの「Master of Business Administration」と正式名称をいえる人はどれだけいるだろうか。MBAとはビジネススクールと呼ばれる経営大学院のジェネラルマネジメントコース修了者に与えられる大学院の学位のことで、正解の決まった知識偏重型の資格学習によって得られる資格ではない。
また現在の日本は、適切ではないものにまでMBAの名を冠してしまう不健全な状態と言わざるを得ない。日本は海外から入ってきたものを何でも日本流にアレンジできる優秀な国だが、MBAに関してはそのせいで原理原則を無視して何でも「日本流MBA」化してしまい、市場に多大な誤解を与えている珍しい国でもある。
MBAは「経営学修士」と表記されるケースが多いが適切には「経営管理学修士」となり、従来からある大学院修士課程で得られる日本の「修士(経営学)」とは異なるものだ。後者はアカデミックな領域を対象とし、経営学の研究学習を目指す「Master of Science in Management」に近い。
それに対して前者のMBAは、経営管理に関する知識やマネジメントスキルなどの実践力を身につけたジェネラリストを養成することを目的としている。ビジネスマネジャーとして結果の出せる訓練をするトレーニングスクールなのだ。とはいえ共に学位であり、名称が似通っているが概念と学習目的が違うため注意すべきポイントでもある。
MBAスクールでは戦略、マーケティング、ファイナンス、人的資源管理など、経営実務に必要な専門知識とビジネスリーダーとして活躍できる論理的思考力などのスキルを身につけるためのジェネラルマネジメントプログラムが導入されている。
(英国QAAの概念ではMBAはGeneral management career development programmeであり専門コースではない)。
■MBAカリキュラムの典型的コア科目(これに専門科目が広がりMBA in 専門となる)
日本でのMBAホルダーは増えているが、残念ながら日本がMBA後進国であることを示すデータがある。MBAスクールの世界3大ランキングのうちの一つ、フィナンシャル・タイムズ紙のGlobal MBA Ranking 2021のトップ100に、日本のMBAスクールは1校も入っていないのである。
代わりにアジア勢でランクインしているのは、インド5校、中国4校、香港3校、シンガポール3校、韓国1校。日本勢は同じく3大ランキングのうちの一つ、クアクアレリ・シモンズ(QS)による Global MBA Rankings 2021の141-150位にようやく名古屋商科大学(NUCB)が登場している。
アジア主要地域のMBAはすでに世界基準であり、日本は世界どころか、アジアの中でも後塵を拝しているといわざるを得ないだろう。世界から見るとまさにMBA後進国だ。