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20周年を契機にさらなる高みを目指すカ・ラ・ダ ファクトリーの挑戦。

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2021年4月6日(火)10時00分
写真・遠藤宏
文・西山 亨

デジタルツール採用の狙いは、顧客との関係性を強化するため。

KA·RA·DA powered by シセイカルテ 3つの事業方針の中でも「デジタルヘルスケア領域の拡大」は、協業を視野に入れているという点で興味深い。顧客向けの会員アプリや電子カルテなどの導入を予定しているが、なかでも特に注目したいのが「KA·RA·DA powered by シセイカルテ」という新サービス。数枚の写真撮影で顧客の体の歪みを分析するAI姿勢分析システムで、3D関連のアルゴリズムに強みを持つスタートアップ企業Sapeet社との協業によって開発された。タブレットなどの端末上で、顧客の体の歪みを可視化する。顧客が施術効果などを簡単に確認できるだけでなく、さまざまな施術メニューの提案にもつながるデジタルツールだ。

「前提にあるのは仕事の効率化です。私達の仕事は現場であるサロンがとても重要で、スタッフにはお客様に喜んでいただけるサービスに集中してほしいと思っています。そのために情報を効率的に伝えることのできる『シセイカルテ』を導入しました。どれだけ時代が進んでも、人と人のコミュニケーションは大切。一方で、世の中のデジタル化にも対応する必要がある。例えば会員アプリは、お客様のためになるものを提案する一方で、これまでのデータを蓄積するなどして予防を管理していただく。デジタルは、お客様とのコミュニケーションを円滑にするための手段のひとつ、という考えです」。

「人財力」という企業理念を胸に、新たな成長のステージへ。

 わずか20年で国内の整体におけるトップクラスのチェーン展開を実現した同社だが、成功の要因について、村田会長はどのように分析しているのだろうか。

村田尋一 むらたひろいち 株式会社ファクトリージャパングループ(FJG) 代表取締役会長「日本はボディケアという分野では遅れている面があります。マッサージ大国である東アジアの国々では、気軽に利用できる街中の店舗から高級スパまで、さまざまな価格帯の店がひしめき合っているのに対して、過去の日本には価格帯の高いホテルのスパのようなものしかなかった。そうした時代に、私達の整体という技術と価格帯を合わせることができた。価格帯に対するニーズとマッチして、成長を後押ししてくれたのだと思います。また、日本人の健康や美容に対する意識が高まり、この流れにうまく乗ることができたところも大きな要因であると考えています」。

 グローバルな視点でマーケットを察知し、顧客に新しい価値を提案することで成長を続けるファクトリージャパングループ。企業理念には、こう記されている。『私たちは感動を生み出す「人財力」で健康の促進と予防に対する意識改革を世界に広げ、社会に貢献します』。何より大切なのは、人の存在。その企業理念は、村田会長の言動の端々から感じ取ることができる。

「最終的には人と人との触れ合いや対話が私達のビジネスの根幹をなしています。昨年7月から、国内の全店舗を回って、『心配しなくて大丈夫だから頑張ろう』というメッセージを届けました。スタッフを不安にさせたり、迷わせたりさせないのが、経営者の役目だからです」

 今回発表された3つの事業方針は、いずれも顧客に寄り添うことで365日をサポートしていくという、未来のビジョンそのもの。人を大切にするというフィロソフィーを土台に、トータルヘルスケアカンパニーとして躍進する同社の姿を見届けていきたい。

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