最新記事

日本企業

「会社が従業員を守ってる!」 コロナ禍のJALやANAの対応に欧米が感動する理由とは

JALとANAのロゴ

ロイター/Toru Hanai


海外で日本型経営の再評価が進みつつある。イギリス在住で著述家の谷本真由美氏は「新型コロナ危機の直後、欧米の航空会社は従業員を大量解雇した。一方、JAL、ANAは従業員を解雇しなかった。欧州では『情』がある対応だと話題になった」という----。

本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない2 未曽有の危機の大狂乱』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

日本は「みなさんへのお願い」だけで絶望的な状態を免れた

外国人観光客の入国をそれほど制限もせず、厳しい都市封鎖を行わず、世界でもっとも高齢化が進んでいて重症化のリスクが高いのにもかかわらず、医療制度をギリギリで守ってきた日本の新型コロナ対策──。

世界有数の超高齢国家という、もっとも厳しい条件であった日本が、政府の「みなさんへのお願い」だけで絶望的な状態を免れたというのは本当に驚くべきことです。

イギリスではロックダウンして一カ月強が経った2020年5月はじめ頃から一気に死者が激増し、政府の場当たり的な対応に不満があちこちで噴出しはじめました。

高齢者や中年以上の人がよく見ている民放、ITVが毎朝放送しているニュース番組「Good Morning Britain」や、その後に放送されるワイドショーは、普段は芸能人のゴシップや料理の話題を放送することも多いのですが、この頃から政府の対策を強く非難する声が目立ちはじめました。

その一方で同時期に増えたのが、日本をはじめ韓国や台湾の新型コロナ対策を評価する番組です。

Twitterに見る日本称賛の嵐

イギリスでは、民放のチャンネル4でリポーターを務めるキアラン・ジェンキンス氏が5月11日、自身のTwitterで日本とイギリスの死者数を比較したところ、6.3万件もの「いいね!」がつき、たちまち話題となりました。


@C4Ciaran
日本の人口 1億2600万人
コロナ死:624人
イギリスの人口 6600万人
コロナ死:3万1855人
これは、どんな見積もりだったとしても驚くべき結果だ(原文はThis is staggering by any estimation.)。

日本の人口はイギリスの2倍近いのに、死者はたったの624人です。イギリスの死者数は「公式」には3万人強で、しかもこの数字は、自宅や老人ホームでの死者数を含めていません。実際には、死者は6万人を超えるといわれており、そうなると、日本の100倍以上もの数字になります。

ジェンキンス氏の"by any estimation(どんな見積もりだったとしても)"には、「統計の方法の違いや、公式発表以外の死者数を加えたとしても」という意味が含まれています。実際、日本で行われた検査数はイギリスに比べて少なかったという事実はありますが、そうした点を考慮に入れても「日本の対策には一定の効果があり、どうやらうまくいっているようだ」と、大半の人が考えていたのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米中上乗せ関税停止、90日間より延長すべき=中国共

ビジネス

アングル:自社株買いが刺激する海外マネー、業績より

ワールド

トランプ米大統領、中東歴訪終了後「ワシントンに戻る

ビジネス

アングル:日銀、26年4月以降の買入減額ペース模索
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 6
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
  • 7
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 8
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中