最新記事

日本企業

「会社が従業員を守ってる!」 コロナ禍のJALやANAの対応に欧米が感動する理由とは

2021年3月8日(月)12時33分
谷本 真由美(著述家、元国連職員) *PRESIDENT Onlineからの転載

イギリスの文化は自分、自分、自分ばかり

ちなみに、チャンネル4はイギリスでもっとも左翼色が強いテレビ局で、普段は社会的な多様性や左翼的な価値観の啓蒙に熱心です。日本については、女性差別や排外主義などを指摘することが多く、決して親日的ではありません。そのチャンネル4が日本を絶賛しているのです。私はジェンキンス氏のツイートに対して、同日こう返信しました。


@May_Roma
私は日本出身です。イギリスの人々の行動を見ていれば、この結果は納得です。誰もマスクをつけていないし手洗いもうがいもしない、土足で建物の中に入る、自己チューで個人主義、トイレや公共の場は衛生状態がひどく、(医療機関には)CTスキャンやMRIが少ない。政府の対応も遅い。

すると、イギリスだけでなく、諸外国の人たちからもさまざまな意見が寄せられ、ちょっとした議論の場になりました。大半の意見が日本の習慣や対策をほめていて、イギリス政府やイギリスの人々の行動を批判するものが目立ちました。寄せられた反応から、いくつか抜粋してみます。

・日本文化はお互いのためにふるまうことを大事にする。イギリスの文化は自分、自分、自分ばかり
・日本のほうがイギリスより人口密度がはるかに高いはず。ひどい結果だ。われわれは、人々のために働こうと思っていないリーダーにひどい目に遭わされているんだよ
・日本人はリーダーのいうことを聞くけれど、イギリスの人々は通りで祭りをやって、警官と乱闘するんだよ!
・日本人は常識に耳を傾ける、集団主義的な社会、コミュニティを守ろうという意識が強い。俺、俺、俺という自己チューで未成熟な社会じゃない
・たぶん日本の人たちは"STAY AT HOME"の意味をちゃんと理解している。(われわれの)政府だけを批判することはできない。出歩くほうがいいと思う人だらけなんだよ、ロンドンやパリは!

みなさん、驚きましたか?

これは決して左翼の人々が批判する「ネトウヨ本」や、日本を絶賛しまくる右翼系のテレビの話ではありません。イギリスや他の欧州各国、ナイジェリアやポーランドなどに住んでいて、実名でTwitterをやっている一般の人たちの書き込みです。

日本は世界でもっとも高齢者人口が多いということは、新型コロナ以前から世界的に知られています。イギリスでも、ニュースやドキュメンタリー番組が高齢化問題を取り上げるときには必ず日本が事例として取り上げられます。

それだけ高齢者が多いのにもかかわらず、今回の新型コロナの死者数は桁違いに少なく、かつてのように経済も上向きではないなかで、自粛による経済打撃もかなり小さく抑えている。イギリスや欧州では日本のそんなところに驚いている人たちが多いのです。

JAL、ANAの対応に見る「情」

他の先進国と違って、日本では企業による大規模解雇も行われていません。イギリスやアメリカは外出禁止令が発令された前後に大規模な解雇を行った企業が多く、街は失業者だらけです。

十分な体力があるはずの大企業に勤務していた私の知人にも解雇になった人がいます。養うべき家族がいるなど、一切状況は考慮してもらえません。欧州やアメリカの大企業は日本と違い、実にドライで利益重視型です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米9月CPIは前年比3.0%上昇、利下げ観測継続 

ワールド

カナダ首相、米と貿易交渉再開の用意 問題広告は週明

ワールド

トランプ大統領、中南米に空母派遣へ 軍事プレゼンス

ワールド

米朝首脳会談の実現呼びかけ、韓国統一相、関係改善期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中