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ステーキ、フォアグラ...どんなに食べても「食べ放題」で絶対に元を取れないワケ

2020年12月2日(水)17時45分
松本 健太郎(データサイエンティスト) PRESIDENT Onlineからの転載

この「食べ放題」システムが今に至るまで人気であり続けているのは、「好きなものをお腹いっぱい」食べられる満足感が最大の理由であるのは言うまでもありません。

ちなみに、アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化しました。

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その最下層に「生理的欲求(Physiological needs)」が位置しています。食欲は「生理的欲求」の1つで、マズローの理論からすれば「食欲は人間の最低ランクの欲求」となります。ただそれは決して悪い意味ではなく、そうした基礎的な欲求である「食欲」が充たされてこそ、自己実現などのさらに高レベルの欲求を人は追求できるのです。

食べ放題がもたらす「気分一致効果」

筆者は「ご褒美」と称して、たまにホテルバイキングへ出掛けます。和やかな雰囲気に包まれ、自分の食べたい物だけを何度も食べられるので、幸せな気持ちになります。それに周囲を見渡しても、他のお客さんも同じように幸せそうに見えます。そもそもホテルバイキングで、険しい顔の人を見かけた記憶がありません。

なぜ食べ放題に来ると、みんな楽しそうなのでしょうか。それはおそらく心理効果の1つ「気分一致効果」の影響だと思われます。美味しい料理をたらふく食べて、食欲が充たされているからこそ、自然と笑顔になるのでしょう。


【気分一致効果】Mood congruency effect

その時々の気分や感情に見合った情報に目が向きやすくなる、あるいは関係した記憶を思い出してしまう効果。良い気分の時には良い情報を、悪い気分の時には悪い情報をよく思い出します。

●具体例
イライラした気分で街中を歩くと、緊急事態宣言が出ている最中に県外から来たナンバーの車にイライラして「自粛しろ」と怒り出してしまう。一方で、機嫌がいい時には自粛の最中でも営業している店を見つけると意気に感じて、ついつい買ってしまう。スピリチュアルな世界では「引き寄せの法則」と呼ばれているようです。ところが、筆者の故郷・大阪では雰囲気が一味違います。大阪新阪急ホテルにある関西最大級のグルメバイキング「オリンピア」では、お店の開店前に入り口で順番を待つお客さんの雰囲気は、さながら「戦場に向かう武士(もののふ)」といった趣きです。

ほとんどの人が「元を取りたい」と考えているので、母親が指揮をとって、父親に「あなたはローストビーフ」、息子に「あなたはお寿司」、娘に「あなたはフォアグラ」と作戦指導をしている光景を本当に冗談抜きで目にします。

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