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「グッバイ、ウォール街」 米金融業界コロナ禍でNY捨てフロリダへ

2020年12月28日(月)10時55分
ロイター

米金融業界では拠点をニューヨーク州からフロリダ州に移す動きが広まっている。マイアミのレストランで5月撮影(2020年 ロイター/Zachary Fagenson)

米金融業界では拠点をニューヨーク州からフロリダ州に移す動きが広まっている。世界的金融ハブのニューヨークは新型コロナウイルス大流行で店舗や施設のほとんどが閉鎖されるなど魅力が大幅に低下。一方、3月から在宅勤務が始まった金融業界では「サンシャインステート」と呼ばれるほど気候が温暖で、税金が低く、手頃な不動産物件が手に入り、必要なら空路で簡単にニューヨークに戻れるフロリダ州の人気が高まった。

フロリダ州パームビーチ郡経済開発委員会のケリー・スモールリッジ氏によると、大手金融関連会社約30社がフロリダ州への拠点設置を打診しており、その一部は移転を真剣に検討しているという。

複数の金融業界幹部によると、最近ではエリオット・マネジメント、シタデル、モーリスなどがフロリダ州でのサテライトオフィス設置計画を発表したり、従業員にフロリダ州への転居を認めたりした。事情に詳しい関係者によると、ゴールドマン・サックスも資産管理部門の従業員の一部をフロリダ州に移すことを検討している。

これまで米金融業界幹部は、教育や文化、人的交流の機会などを巡る懸念から、フロリダへの拠点設置を拒否していた。

しかし在宅勤務やオンライン学習の導入でこうした不安の大半が消える一方、ニューヨークはレストランや博物館・美術館などの施設のほとんどがコロナ対策のため閉鎖されたままだ。

銀行関係者など金融業界の関係者によると、そのためフロリダ州のリラックスしたライフスタイルや企業寄りの慣行が魅力を高めている。

こうした流れはフロリダ以外でも起きており、大手金融関連会社はニューヨークやサンフランシスコなどコストのかさむ都市から、オハイオ、テネシー、ユタなどコストの低い州へと従業員を再配置している。

関係筋によると、多くのニューヨーカーにとってフロリダは文化の面でも物理的にも、他の州に比べて身近だ。時差がなく、ユタ州ソルトレークやテネシー州ナッシュビルよりニューヨークからの移住組が多い。

レストランが1年を通してオープンエア方式で営業しているのも好感され、州所得税がない。住宅はおおむね安く、パームビーチ郡などの商用賃貸物件の賃料はマンハッタンの半分程度だ。

ウェルススパイアー・アドバイザーの上席副社長で、半年前にフロリダ州に転居したケビン・クーパー氏は「ここがとても気に入っていて、何人かの友達にこちらに引っ越してもらおうとしている」と話した。「人々はここでは自分らしく生きられる」と言う。

マンハッタンの高層ビルで働くことや、映画やコンサート、レストランでの外食などを楽しむことができないなら、フロリダのビーチに近い方がいい、というのがクーパー氏をはじめ多くの金融業界幹部の考えだ。

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