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コロナで世界に貢献した グッドカンパニー50

本気の社会貢献「グッドカンパニー」の時代が来た、コロナで何が変わったか

STEPPING UP

2020年9月23日(水)06時50分
サム・ヒル(経営評論家)、ハンク・ギルマン(本誌編集ディレクター)

一方で、経営者が企業系の慈善団体を税金逃れの隠れみのとして用い、自己利益を図る行為は法律で禁じられている(現職大統領の関与するトランプ財団は、この法律に触れて解散を命じられた)。

こうした株主への説明責任があるから、企業の社会貢献活動は本来の事業同様、ルールを定めて厳格に、優れてプロフェッショナルに行われる。それがブリュースターの言う戦略的フィランソロピーだ。「今の企業は自社の目的や価値観を見定め、それに合致する社会的投資はどうあるべきかを考える」と彼は言う。「まずは利害関係者、つまり顧客や従業員が気にしている問題は何かを探る。どこまでの出費なら可能か、どれだけの数の問題に取り組むかも決める。その先に、どうやるかという戦略の議論が来る」

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経営トップが自ら仕切る

著名な経営学者マイケル・ポーターとの共著で企業の社会貢献活動に関する数々の論考を発表してきたマーク・クレーマーも、ビジネスの手法を採り入れると社会貢献も規律正しく効率的に行えると考える。ただし初動に時間がかかるので、対応が遅いとか融通が利かないなどの批判を受けやすい。

しかしそれは平時の話。コロナ危機の今は、通常の事業活動もままならない。それでも多くの企業は「立派に、しかもトップ主導で「クリエーティブに対応している」と評するのは、企業系財団の運営に精通したキャスリン・エンライトだ。例えば取引先やテナントの支払いを猶予する、生産設備を転用してマスクを作る、休業中も従業員に所定の賃金を払う、休めない人たちには特別報酬を出す、困っている従業員への経済支援を強化する──などだ。

平時には、社会貢献は企業系財団の職員に任せておけばいい。しかしコロナ危機の今は特別なので経営トップが自ら仕切る。家賃の猶予も生産設備の転用も会社の稼ぎに関わる決定であり、どこかで株主に説明し、納得してもらう必要がある。だからこそ経営トップの出番なのだ。

あまり知られていないが、先住民ナバホ族の居留地に高機能マスクなどを寄付する企業もあれば、失業保険の申請支援ボランティアに従業員を派遣した会社もある。利用者が激増したフードバンクの運営支援に人材を送り込んだ企業もある。

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