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日本企業バフェットが日本商社株取得 インフレとドル安の投資妙味期待か
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは30日、日本の5大商社の株式をそれぞれ5%超取得し、持ち分を最大9.9%まで引き上げる可能性があると表明した。写真はバフェット氏。2019年5月、オマハで撮影(2020年 ロイター/Scott Morgan)
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは30日、日本の5大商社の株式をそれぞれ5%超取得し、持ち分を最大9.9%まで引き上げる可能性があると表明した。これはバフェット氏が、インフレ進行とドル安に伴う外国株の投資妙味増大を期待している表れかもしれない。
投資対象となったのは伊藤忠商事<8001.T>、丸紅<8002.T>、三菱商事<8058.T>、三井物産<8031.T>、住友商事<8053.T>の各社。いずれもコモディティー探査部門を含め事業は多岐にわたり、バフェット氏が好むバリュー株の典型と言える。
バークシャーが保有するアップルやアマゾンなどの大手IT銘柄主導で、米国株が1990年代終盤のハイテクバブル以来の高値水準に達している今の局面で、バフェット氏がこうした投資に動いたことについて、バークシャーの株主も歓迎する姿勢だ。
資産の3%近くをバークシャーに振り向けているスミード・キャピタル・マネジメントのビル・スミード最高投資責任者は「バフェット氏はインフレで価値が生まれる分野へと投資の軸足を移しつつある」と評価し、出資先の企業は原油などの原材料の価格が跳ね上がれば利益が得られるとの見方を示した。
実際、3月以降は金や物価連動債、一部コモディティーなどの価格が高騰している。主要中央銀行による合計9兆ドルを超える規模の金融緩和が物価を押し上げるのではないかとの懸念が背景にある。さらに米連邦準備理事会(FRB)は先週、物価上昇率が一定期間、目標の2%を上回ることを許容する姿勢を打ち出した。
同時に進んでいるのがドルの下落で、足元では2年ぶりの安値水準で推移。ロイトホルト・グループのチーフ投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏は、米国の投資家にとってドル安は日本やその他の外国株の魅力を高めてくれると説明する。投資先企業の現地通貨建て利益増加が見込まれるからで、外国株投資の環境を一層改善する要素だという。
日本の大手商社株取得は、バフェット氏が長年掲げてきたバリュー株投資の物差しにぴったりとかなっているとの声も根強い。
ラウンティス・アセット・マネジメントのポール・ラウンティス社長は「ウォーレン・バフェット氏は投資の地平線を広げようとしながらも、米国株が非常に割高な時期に、バリュー株投資という根本にこだわっている」と話した。ラウンティスは資産の2割近くをバークシャーに投じている。
ダルトン・インベストメンツの創業者兼アジア・日本担当シニアポートフォリオマネジャー、ジェーミー・ローゼンワルド氏は、とてつもないほど値ごろ感のある日本株市場においても、バフェット氏は笑いが止まらないほど割安な銘柄を手に入れたと指摘した。
バフェット氏は以前から米国外の株式に目を向け、イスラエルのIMCインターナショナル・メタルワーキングやドイツのオートバイアクセサリー小売りのデトレフ・ルイスなどにも投資している。
アクアマリン・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ガイ・スピア氏は、日本の商社への出資によってバークシャーは中国市場の足掛かりも強化できるのではないかとみている。同氏は、これらの商社が、台頭する中国でうまく事業を展開する方法の解明に関して、他の多くの企業よりもずっと時間がかけてきた点を重視する。
96歳でバークシャーの副社長を務めるチャーリー・マンガー氏は2月、中国企業の方が米企業よりも強固で急成長していると評していた。バークシャーは中国の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)<1211.HK><002594.SS>に出資している。
今回の日本商社への出資は、バークシャーの1450億ドルに上る手元資金の消化にも貢献する。ダルトンのローゼンワルド氏は、バークシャーにとって多額の現金の有効活用はかなり優先度の高い問題だと述べた。
(David Randall 記者、 Svea Herbst-Bayliss記者)
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