日産「10年ぶりの戦略車」SUV型EV来年半ば日本から発売 ブランドロゴも一新
日産自動車は、電気自動車(EV)「アリア」を世界で初公開し、2021年半ばに日本でまず発売すると発表した。写真は「アリア」。横浜で14日撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)
日産自動車<7201.T>は15日、電気自動車(EV)「アリア」を世界で初公開し、2021年半ばに日本でまず発売すると発表した。内田誠社長は発表会で「日産の歴史の新たな扉を開く」と語った。
EVとして世界初の量産車「リーフ」に続く約10年ぶりの戦略車で、同社初の多目的スポーツ車(SUV)タイプ。補助金を引いた実質購入価格は約500万円からとなっている。欧米・中国でも投入予定で販売目標は非公表だが、複数の関係者によると、最初の1年間で約3万台を計画する。
同社はカルロス・ゴーン前会長の拡大路線による過剰設備や販売不振などで業績が悪化、トップの不正でブランド力も落ちており、最新の運転支援・コネクテッド技術を搭載したアリアを「復活」の象徴にしたい考え。アリアからブランドロゴ「NISSAN」のデザインも約20年ぶりに変更し、他の車も全面改良などに合わせて順次切り替える。
発表会で内田社長は「今後、年間100万台以上の電動車を販売していく。アリアはそんな新しい時代の日産を象徴する」と指摘した。5.1秒で時速100キロに加速できる性能を挙げ、「(日産のスポーツ車)『フェアレディZ』に匹敵する」一方、安定性と静粛性も兼ね備え、「日産車の魅力がすべて詰まっている」と自信をみせた。
開発期間は約5年。車両開発主管の中嶋光氏は「『今の日産を象徴する車で将来の日産につながるところをしっかりと見せないといけない車。妥協してつくるな』と経営陣から言われた」と話し、「そんなに利益は出ない。今はそのくらい頑張っている」と語った。
販売規模は中国が最多、次が欧米、日本と続く見込み。前会長がトップ時代は日本の新車投入が後回しで「日本軽視」とみられていたが、今回は日本で最初に発売する。中嶋氏は「日産は日本の会社。日産を象徴する車を日本の顧客にまず乗ってもらいたい」と話した。
日本・欧米向けは高価格帯モデルを手掛ける栃木工場で生産する。関係者によると、同工場で来年中は4万台を生産し、将来的に計10万台に引き上げる。中国向けは現地生産する。
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