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コロナショックオーストラリア経済の活況支えた住宅ブーム終焉 対中関係の悪化も影
オーストラリア経済の最近の活況を支えてきた国内の住宅建設ブームに終わりが見え始めている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた国境閉鎖で移民や留学生の流入が激減し、都市部の高層住宅を中心に需要が落ち込んでいることが背景にある。写真はアパートの建設現場。2019年2月、シドニーで撮影(2020年 ロイター/Tom Westbrook)
オーストラリア経済の最近の活況を支えてきた国内の住宅建設ブームに終わりが見え始めている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた国境閉鎖で移民や留学生の流入が激減し、都市部の高層住宅を中心に需要が落ち込んでいることが背景にある。
オーストラリアの人口は移民や留学生の増加がけん引し、2000年以降約600万人増えた。これはドイツの人口増加率の6倍以上。移民の増加を背景に、高い都市部で1戸当たり面積が小さい高層の集合住宅の需要が高まった。
ただ、新型コロナ対策のための国境封鎖は当面続く見通しで、雇用と経済全体に占める割合が約10%に達する住宅建設の落ち込みが失業率を押し上げ、住宅業界全体に影響を及ぼす恐れがある。
建設資材を扱うブリックワークスは、移民の減少や外国人の帰国に伴い、集合住宅の開発事業が冷え込むと予想している。SQMリサーチによると、移民が多い最大都市シドニーの5月の空室率は16%を超え、昨年末の4─5%から急上昇した。
高層マンションなど、狭い土地により多くの人が居住できる高密度住宅の建設は2014年以降、住宅建設全体の約4割を占めており、この割合は1980年代の水準から倍以上に増加した。背景には、オーストラリアが受け入れる移民の約40%を占める留学生の需要が増えていることがある。
ただ、調査会社BISオックスフォードによると、2021年6月までの1年の高層マンションの着工件数は2万1500件と、5年前の水準から3分の2減少する見通し。
一方で、新型コロナ危機を受けた在宅勤務の増加で、大都市郊外の住宅需要が上向くとの期待もある。
新型コロナによる打撃でオーストラリア経済は約30年ぶりに景気後退(リセッション)入りした。一方で、住宅業界への影響は今のところ、多くの失業者を出しているサービス業界ほどではない。
ただ、政策当局者は、向こう1年に予定されている建設事業について、慎重な見方を示している。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5月下旬に公表した内部調査報告書で、建設活動の先行き不透明感を理由に多くの事業で何らかの形で人員調整が続くと指摘した。
オーストラリアは中国から多くの移民を受け入れているため、このところの中国との関係悪化も住宅市場の先行きに影を落としている。
モリス・プロパティー・グループは先月、首都キャンベラのオーストラリア国立大学近くに予定していた345戸の高層住宅建設事業を保留にした。主に中国とインドの留学生の需要を見込んでいた。
同社担当者は、事業が中止となれば300人の雇用が失われると指摘。継続しても需要回復は期待できず、規模を150戸程度に縮小して進める可能性が高いと説明した。
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