国債市場で超長期金利が再上昇 日銀・黒田の「一番重要」は何か
日銀の「存在感」
日銀オペが超長期債マーケットに占める割合は大きいわけではない。「残存期間10年超25年以下」と「同25年超」の国債オペは月2回ずつ。月間の買い入れ額は月2400億円と600億円の計3000億円だ。月3兆9600億円の中期債や月2兆円の長期債とはレベルが違う。
また、プラス金利の超長期債に対する投資家需要は厚い。財投機関債や、地方債などを含めたプラス金利の債券は、今年度約50兆円が償還される。一方、それらの債券の発行は20兆円半ば。超長期債も20兆円半ばの発行となるため、需給的には日銀の買い入れがなくても、バランスがとれている。
しかし、超長期債の発行額は今後さらに膨らむ可能性がある。超長期債の発行額は7月から月2兆3500億円になるが、新型コロナの影響で税収不足が深刻化すれば第3次補正予算の編成が必要になる。また今回の国債増発は短期債や中期債が中心だが、来年度以降、借り換えていく中で、徐々に安定度の高い長い年限の債券に振り替えられていくとの見方も出ている。
こうした中で、日銀が超長期債に対して、どう動くかを市場は注目している。占有率が低いとしても、超長期債市場は、良くも悪くも日銀の動向に左右されやすい。アライアンス・バーンスタインの債券運用調査部長、駱正彦氏は、日銀が買い入れを増やす姿勢を示せば、金利のスティープ化はいったん止まるとみる。
6月30日に発表される「7月の国債買い入れ月間予定(オペ紙)」を含め、日銀の次の動きを市場は固唾をのんで待つことになりそうだ。
伊賀大記(取材協力:木原麗花、坂口茉莉子 編集:青山敦子)
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