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日本企業緊急事態宣言解除後の日本企業、テレワーク活用の「新しい生活様式」広がる
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が全国的に解除され、国内企業も平時の運営体制に徐々に戻し始めている。ただ、在宅勤務からオフィス通勤への移行は段階的に進める企業が多く、感染拡大防止に向けて政府の専門家委員会が提唱する「新しい生活様式」を意識した取り組みが目立つ。都内で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が全国的に解除され、国内企業も平時の運営体制に徐々に戻し始めている。ただ、在宅勤務からオフィス通勤への移行は段階的に進める企業が多く、感染拡大防止に向けて政府の専門家委員会が提唱する「新しい生活様式」を意識した取り組みが目立つ。在宅勤務を広く活用し続ける「ニューノーマル(新常態)」を想定する企業も多い。
主な企業の取り組みは以下の通り。
◎日立製作所 緊急事態宣言の全面解除後の「新常態」を見据え、在宅勤務の活用を標準とした新たな働き方を2021年4月から正式適用する。週2―3日、約50%の在宅勤務を想定する。
職務を明確にするジョブ型人材マネジメントを必須と捉え、転換を進める。リモート環境で業務可能なIT環境を整備拡大し、4月下旬以降に約8万の同時接続を安定稼働。在宅長期化に対応し、産業医などのリモート相談窓口を設置。
7月末まで総括する。
当面の従業員支援として、6月から在宅勤務で必要な費用や、出社時のマスク・消毒液など感染防止対策に必要な費用として全従業員に1カ月あたり3000円の補助を支給する。在宅勤務のために購入した物品購入費用を補助する。
◎ソニー 3月下旬から実施している在宅勤務の原則は5月31日まで継続し、6月1日から段階的に緩和する。6月上旬はオフィスへの出勤率を全社の20%程度に抑制、3週目以降も30%程度に抑制する。
出社する場合、公共の交通機関は午前8時から9時半の混雑時の利用を避ける。感染者の発生に備え、同じ業務を担うメンバーをグループに分け接触人数を抑え、業務停止に至らないようにする。入館時には検温し、エレベーターの乗員数を制限する。
◎パナソニック 政府が提唱する「新しい生活様式」に対応した働き方を推進する。宣言解除後も時差出勤や在宅勤務を積極活用する。出張や会議もオンラインを引き続き活用。集会やイベントは、実施がやむを得ない場合は感染防止対策を前提に小規模で行う。
◎KDDI 引き続きテレワークを推奨し、職場環境が「3密」にならないよう管理する。ショップは都道府県の自粛要請解除の動向を踏まえて順次、通常営業を再開する。ニューノーマルに対応するため新たな働き方の取りまとめを進める。
◎GMOインターネット 在宅勤務を継続しながら出社勤務を再開する体制に移行する。6月上旬ごろからは週1─3日を目安に在宅勤務する体制にする。
在社時は常時マスクを着用し「3密」回避を徹底。対面での食事を禁止する。会議室の利用は部屋ごとの利用可能人数以内とし、扉は閉めない。取引先とも契約は電子契約のみとし、サービスの各種手続きから印鑑の使用を完全撤廃する。
◎キリンホールディングス 6月1日以降6月末まで。国内キリングループ社員約1万人を対象に、出社人数は上限30%まで。出社時はマスク着用必須、引き続き積極的きウェブ会議を活用すると共に、来客時など対面が必要な場合には ソーシャルディスタンスを確保するなどの感染予防・感染拡大防止の取り組みを行いながら徐々に活動を再開していく。
海外出張・渡航は私用も含め禁止。都道府県をまたいだ出張については、事業運営上必要性の観点から検討を行った上で実施するが、北海道・首都圏との不要不急の往来は 慎重に判断する。
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