日本経済大幅に悪化 日銀短観が示した中国依存浮き彫りに
中国依存の経済構造、見直し難しく
明るい材料がないわけではない。感染拡大は今や欧米が中心であり、中国はすでにピークを越え、生産体制も緩やかながら回復に向かっている。
実は「日本経済にとっては欧米での需要蒸発よりも、中国での需要・供給体制のインパクトの方が大きい」と野村証券の三輪氏は指摘する。短観DIを見ても、中国からの部品調達の停滞で打撃を受けてきた電機は中国での生産回復を反映して先行きへの見方が改善している。
裏を返せば、中国経済の回復が進むことで、日本企業のサプライチェーンに中国がなくてはならない存在であり続けることになる。政府は新型コロナウイルス発生で明らかになった中国への依存が日本の経済安全保障にとって問題になるとの視点から、その見直しに動き始めている。
3月5日の未来投資会議では日本経済がいかに中国依存度が高いかを議論。中間財の輸出入依存度が2割を超えており、主要国と比べても群を抜いていることを課題に挙げている。
また本日発足した国家安全保障局の経済班では、新型コロナウィルスの影響による中国依存のサプライチェーンへの対応も扱うことになった。
一方で企業サイドではこうした意識はまだ薄く、中国から他地域への事業移管はそう簡単には進みそうにない。ロイター3月調査ではサプライチェーンへの影響を受けた企業のうち、その見直しを実施・検討している企業は47%と半数程度にとどまる。
そうした企業でも「調達国を中国から日本、台湾、東南アジアに変更しても構成部品が中国からの調達品であることも多く、思うように代替品を調達できない」(機械)など、なかなか代替先が見つけられない状況だ。
また輸出先としても中国を凌ぐ巨大市場はなく、現地への進出は欠かせない。自動車産業では販売台数の2割弱を、電子部品の3割強を中国向けが占める。国内市場の縮小をカバーするためにも必要不可欠な市場であり、代替となる他国市場の確保は困難な状況だ。
(編集:石田仁志)
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