最新記事

日本経済

東京株式市場、日経平均は続落 個別物色でTOPIXは堅調

2020年3月19日(木)12時00分

3月19日、寄り付きの東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比269円22銭高の1万6995円77銭となり、反発した。写真は都内の株価ボード。2013年12月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比124円29銭安の1万6602円26銭となり続落した。前日の米株市場が大幅安になりながらも、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を開始すると発表したことが好感され、急反発して始まった。その後は、一転して下げに転じたものの、値上がり銘柄の方が多く、指数の推移と物色動向がかい離する展開になっているという。それを映してTOPIXは終始堅調に推移した。

18日の米国株式市場でダウ平均は1338ドル下落し、2017年のトランプ大統領就任以降に記録した上げを全て失った。トランプ大統領は約500億ドルの航空業界支援策に加え、総額5000憶ドルの現金給付案を議会に提案したが、株安の歯止めとならなかった。

一方、欧州中央銀行(ECB)は18日、新型コロナウイルスの流行で経済への影響が広がる中、域内の借り入れコスト押し下げに向け、7500億ユーロ(8180億ドル)の緊急債券買い入れプログラムを開始すると発表。これまで信用格付けの低さから買い入れの対象となっていなかったギリシャの債券も対象にしている。

これが好感され、朝方は戻りに弾みを加えたが、後が続かない。それでも、個別でみると、大底を確認してしっかりとなる銘柄も多く、市場では「個別の動向をみると、投資家は冷静さを取り戻しているようだ。半面、地合いの不安定な状態が続いているため、指数を崩す投機的な動きが収まらない」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)との声が聞かれる。

TOPIXは1.47%高で午前の取引を終了。日経平均と対照的な動きとなった。東証1部の売買代金は2兆0258億6400万円と大商い。東証33業種では、原油価格の下落を背景に陸運業や空運業の上昇が目立つ一方、鉱業などが下落した。

個別では、外為市場でドル高/円安に振れたことを受け、トヨタ自動車は10%を超す下落となった。東証1部の騰落数は、値上がりが1086銘柄に対し、値下がりが1035銘柄、変わらずが44銘柄だった。

日経平均は伸び悩み、前日比マイナス圏に沈んだ。1万6700円台の動きで、徐々に値を消している。ECBの量的緩和を好感して上昇したが、買いが一巡してから上値に慎重となり後が続かない。市場では「高PBR(株価純資産倍率)銘柄が買われ、マーケットは冷静になってきたが、依然として不安定な状態には変わりがない」(野村証券・投資情報部投資情報二課課長代理の滝沢弘量氏)との声が出ていた。

寄り付きの東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比269円22銭高の1万6995円77銭となり、反発した。前日の米国株市場が大幅反落となったものの、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を開始すると発表したことが好感されている。

欧州中央銀行(ECB)は18日、新型コロナウイルスの流行で経済への影響が広がる中、域内の借り入れコスト押し下げに向け、7500億ユーロ(8180億ドル)の緊急債券買い入れプログラムを開始すると発表した。これまで信用格付けの低さから、ECBの債券買い入れの対象となっていなかったギリシャの債券も対象にする。緊急プログラムは新型ウイルス流行の「危機的段階」が過ぎれば終了するという。

市場関係者によると、寄り前の板状況は、トヨタ自動車が買い優勢。

指数寄与度の大きいファーストリテイリングは売り買い交錯。

メガバンクでは、三菱UFJフィナンシャル・グループが売り買い交錯となっている。

*内容を追加します。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルスの「0号患者」を探せ!
・イタリア、新型コロナウイルス感染3万人突破・死者2503人
・米研究所が警告「新型コロナウイルス、空中で数時間生存」


20200324issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月24日号(3月17日発売)は「観光業の呪い」特集。世界的な新型コロナ禍で浮き彫りになった、過度なインバウンド依存が地元にもたらすリスクとは? ほかに地下鉄サリン25年のルポ(森達也)、新型コロナ各国情勢など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インド投資は中長期的に魅力、「次の中国」=ファンド

ワールド

サムスン電子、利益改善「限定的」と予想 半導体事業

ビジネス

ブラックストーン、低コストAI登場でもデータセンタ

ワールド

シリア、包括的な政府樹立へ 暫定大統領が表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中