新型コロナウイルス、世界経済への余波顕著に 各国が相次ぎ景気支援策
新型コロナウイルス(COVID─19)の新たな感染者数の増加ペースが中国本土で鈍化し、明るい兆候と見られる一方、米アップルが業績を巡る警告を発するなど、企業業績への影響が次第に顕著になってきた。ニューヨークで昨年10月撮影(2020年 ロイター/Mike Segar)
新型コロナウイルス(COVID─19)の新たな感染者数の増加ペースが中国本土で鈍化し、明るい兆候と見られる一方、米アップルが業績を巡る警告を発するなど、企業業績への影響が次第に顕著になってきた。各国政府は景気への影響軽減などに向けた一連の支援措置を発表している。
中国の保健当局者らによると、17日時点の中国本土での新型ウイルスによる肺炎の新たな感染者数は1886人と、1月30日以来初めて2000人を割り込んだ。累計では7万2436人。死者は98人増え、1868人となった。100人を下回るのは2月11日以来。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は前日、新たな感染者の伸びは鈍化しているものの、「トレンドの見極めには極めて慎重になる必要がある」と警戒の姿勢を崩していない。
中国以外ではこれまでに感染者827人、死者5人が確認されている。感染者の半分超は、横浜港に検疫のため停泊し、新型ウイルスの集団感染が発生しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」によるもの。
テドロス氏は、ダイヤモンド・プリンセスでの集団感染のような特別なケースを除き、中国以外で確認されている人から人への感染は12カ国で92例と指摘。こうしたケース以外では「新型ウイルスが持続的な国内感染は確認していない」と強調した。
こうした中、中国国営テレビによると、湖北省武漢市で新型ウイルスを専門に治療を行っている武昌医院の院長が18日、ウイルス感染により死亡した。
企業業績への余波
アップルは前日、新型肺炎の流行が中国での同社製品の生産と需要の両方に影響を与えているため、1─3月期の売上高が会社予想に届かない見通しと発表。中国での同社製品の生産拠点は再稼働したものの、想定よりも生産の立ち上がり遅いと説明した。
さらに、中国での生産拠点がフル稼働に達していないため、iPhoneの供給が「一時的に制約を受ける」見通しとし「iPhoneの供給制約が、世界中で売上高に一時的に影響する」との見方を示した。
英自動車メーカー大手のジャガー・ランドローバー(JLR)は、生産維持に向けて、中国製部品をスーツケースに入れて英国に輸送しているとし、今後2週間で部品不足に陥る可能性があることを明らかにした。
英ホテル大手インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)は、1月終盤以降、中国で展開するホテルの客室予約に新型コロナウイルス感染拡大が影響が出ていると明らかにした。
また、イタリア高級ブランドのプラダは、5月に日本で開く予定だったファッションショーを延期すると発表。 同業の仏シャネルも、北京で予定していたファッションショーを「適切とされる時期」まで延期すると発表した。