韓国、キャッシュレス完了した国が進める「コインレス社会」
近い将来、韓国から硬貨がなくなる日が来る?
<日本でもようやく普及しだしたキャッシュレス決済。一方、クレジットカードの利用が普及した韓国では次なる目標が掲げられている>
ここ数年、中国人観光客の爆買いや今年開催される東京五輪に多くの訪日外国人が来日することを見込んで、キャッシュレス化が進んでいた日本だが、昨年秋の消費税増税のタイミングで導入されたポイント還元でその波はさらに勢いをつけたように思える。
最近では○○Payも定着しつつあり、数多く存在するPayの競争は激しさを増しているようだ。テレビCMでよく見かけたヤフー系列のPayPayがおなじみだったが、その後メッセージアプリで有名なLINEペイも幅を利かせていた。しかし、最近では今月から毎週10億円還元キャンペーンを行っているauPayが話題の中心となっている。
海外のキャッシュレス決済は?
キャッシュレス決済といえば日本でも爆買いで有名になった中国人観光客がよく使うQRコード決済がイメージされるだろう。日本でも中国人観光客が買い物する際に便利なようにと対応する店が増えていった。中国人の旅行客がスマホで決済する様子はもうすでにおなじみの光景だろう。ちなみに中国本土では、店舗だけでなく路上の屋台でもQRコードが利用できるという。
欧米でいえばフランスでは、1000ユーロ以上の商品の現金購入が禁止である。違反する場合はさらに過料が発生する。またスウェーデンでは、お店の方がお客に対して現金払いを拒否することが法律で認められている。
さて、お隣りの国、韓国では日本よりもずっと先にキャッシュレス化が進んでいる。筆者が韓国に住んでいた頃も、100円ほどのガム1個買うのすらクレジットカードやチェックカード(日本でいうデビットカードの意味)を使用していた。その普及率はすでに9割を超えているほどだ。韓国は、キャッシュレスはほぼ完了し、数年前からは将来的に硬貨がない社会──コインレス社会に取り組んでいる。
さかのぼること3年前、2017年4月に韓国の中央銀行である韓国銀行は「2020年までには"硬貨の無い社会(COINLESS SOCIETY)"を実現する」と発表した。これは、2017年の4月20日より、コンビニエンスストアや大型スーパーマーケットなど全国2万3050店舗を皮切りに、買い物をして現金で支払いをした場合、そのおつりを店舗カードのポイントか、もしくはICカードの韓国版「交通カード」に返金するというシステムだ。
2017年末には、大手コーヒーチェーン店や、ドラッグストアなどにも導入され、3万6500店舗で利用可能になった。溜ったポイントは、現金と同じように使用が可能で、一定金額を超えるとATMで現金引き出しもできるようになっている。