マーケティングが環境問題の解決に向かうまで
コトラーのこうした問題意識の背景には、(1)コトラーの親や祖父母が旧ソ連のウクライナから米国・シカゴへの貧しい移民労働者であったこと、(2)シカゴ大学で労働経済学を学ぶことで、貧しい移民労働者の賃金格差を解消するための解決方策に関心をもっていたこと、などが挙げられる(コトラー 2014)。
企業倫理・CSR・「企業と社会」論といったように、CSR論の進化とパラレルに対応した「社会性を基盤としたマーケティング活動」を研究してきた彼は、営利組織としての企業のためのマーケティング活動だけでなく、非営利組織のためのマーケティング活動としての「ソーシャル・マーケティング」(Social Marketing)という新しいコンセプトの創造へと至り、そうした論文を早くから発表している。
今日のソーシャル・マーケティング論の基礎となっている、コトラーとロベルトの著作『ソーシャル・マーケティング(初版)――行動変革のための戦略(Social Marketing: Strategies for Changing Public Behavior)』(1989年)では、「人々の考え方や習慣を変革するためのプログラムの企画・実施・管理のためのマーケティング技術」として、「ソーシャル・マーケティング」を位置づけ、その適用領域に、(1)企業(社会貢献〔フィランソロピー〕・文化支援〔メセナ〕等)、(2)非営利組織(政府機関・学校・病院・美術館・博物館等)、(3)社会変革キャンペーン(環境保護運動・エイズ予防・家族計画等)を挙げ、これらの問題のマーケティング的な解決手法を提示している(Kotler 1989)。
さらに、2005年にはナンシー・リー(Nancy R. Lee)との共著『企業の社会的責任――あなたの会社・あなたの大義のための、そして、最大の善のための実践法』(Corporate Social Responsibility: Doing the Most Good for Your Company and Your Cause)』(Wiley, 2005=2007[邦訳]恩藏直人監訳『社会的責任のマーケティング 』東洋経済新報社)、2009年には、同じくナンシー・リーとの共著『貧困からの脱却――ソーシャル・マーケティングによる解決法』(Up and Out of Poverty: The Social Marketing Solution, Warton School Publishing, 2009=2010[邦訳]塚本一郎監訳『コトラー ソーシャル・マーケティング――貧困に克つ7つの視点と10の戦略的取り組み』丸善)などが刊行されている。
このように、従来の営利組織(企業)に対するマネジリアル・マーケティングを基盤とした上で、営利組織の社会的役割を追求するために創出されたのが「ソーシャル・マーケティング」であるといえよう。
換言すれば、貧困・企業不祥事・公衆衛生等に関する社会的課題や、さらには地球環境問題という今日的な課題の解決のためにマーケティング手法を適用したのが「ソーシャル・マーケティング」なのである。
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