最新記事

ネット

「軽く月10万円は稼げます」 アマゾン偽レビューを書く人はどうやって儲けるのか?

2019年11月8日(金)17時00分
横田 増生(ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

多くのアマゾンの利用者は、アマゾンで購入するときレビューを参照するが、はたして、そのレビューと購買パターンには、どのような関係があるのか。アメリカでは、アマゾンのレビューと購買パターンに関する大学の研究結果がある。

スタンフォード大学のデレック・パウエル教授らが2017年、《心理学的科学誌》に発表した研究によると、アマゾンの利用者は、より多くのレビューがついている商品を購入する傾向がある、と指摘されている。同じような携帯電話でも、五つ星のレビューで、2.9のレビューが25件ついているより、同じ2.9のレビューが150件ついている方を選ぶ、というのだ。

五つ星のレビューにおける中央値は3だ。2.9のレビューとは平均以下となる。平均以下のレビューの件数が多いということは、利用者の商品に対する評価が低いことを意味する。しかし、アマゾンの利用者は、悪いレビューが多くついた携帯電話を買う傾向が強いのだという。パウエル教授は「大衆に追随する心理が働いているのだろう」と分析する。

「消費者の8割」がレビューを信用

さらに、アメリカの調査機関のアンケート調査によれば、ネットショッピングの際、91%の消費者がレビューを読み、84%がレビューを自分の友人からの推薦と同じように信用している、と答えている。

加えて、日本のネット調査会社マイボイスコムが2017年に行ったネット上の口コミ情報に関する調査によると、ネット上の口コミ情報を「かなり信用する」と「まあ信用する」を合わせると55%を超えており、口コミ情報を参考にするサイトとして、1位の《価格・ドット・コム》の次に、アマゾンのカスタマーレビューが2位となっている。

ならば、アマゾンで五つ星のレビューがたくさんついた商品の売れ行きがよくなるのは、当然であろう。出品者がフェイクレビューを金銭で買い取れば、その分、費用と手間が発生するが、後で売り上げが上がり元が取れると踏んでのことなのだ。

私も取材先を探すために、フェイスブックの4つのグループに入った。《アマゾンジャパンレビュー募集中》や《JPアマゾンレビューアー募集》などのグループだ。私のフェイスブックには、私がジャーナリストである旨や、私のこれまで書いた記事などがタイムライン上に上がっているので、断られるのを覚悟で申請したが、申請したすべてのグループに難なく入ることができた。参加申込者については、何の審査もしてないのだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ポーランド、米と約20億ドル相当の防空協定を締結へ

ワールド

トランプ・メディア、「NYSEテキサス」上場を計画

ビジネス

独CPI、3月速報は+2.3% 伸び鈍化で追加利下

ワールド

ロシア、米との協力継続 週内の首脳電話会談の予定な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中