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エネルギー米制裁で石油タンカー運賃高騰 アジア向け大型原油タンカーは15億円に
米国の対イラン、対ベネズエラ制裁の影響で、世界的にタンカー運賃が高騰している。写真はオイルタンカー。マルセイユ沖で8月撮影(2019年 ロイター/Jean-Paul Pelissier)
米国の対イラン、対ベネズエラ制裁の影響で、世界的にタンカー運賃が高騰している。商社や石油会社などが制裁違反を恐れ、両国の石油を運んだ実績のあるタンカーを利用しなくなったため、「使えるタンカー」が限られ、アジア向けを中心に石油タンカー運賃が跳ね上がっているという。
実質利用できないタンカーは300隻近く。業界関係者やリフィニティブのアイコンのデータによると、世界の石油タンカーの約3%に相当する。
アジアの原油トレーダーは11日、「運賃は天井知らずに上がっており、人々は輸送コストに神経をとがらせている」と述べた。
中国石油化工(シノペック)傘下の石油取引会社ユニペック、スイスの資源商社トラフィギュラ、ノルウェーのエクイノール、米エクソンモービルはここ1年、ベネズエラ産原油を運んだ実績を持つ250隻のタンカーの利用をやめている。
このほか米国が前月、対イラン制裁に違反してイラン産原油を運んだとして制裁を科した中国遠洋海運集団(COSCO)大連所有のタンカー43隻も使われなくなった。
COSCO大連は、世界の3%相当の大型原油タンカー(VLCC)も所有。このため、VLCC運賃はここ2週間、最高値を連日新しているという。
アジア向けのVLCC運賃は、米国の制裁強化を受けてここ数カ月、高騰している。
商社筋によると、ペトロチャイナの子会社が11月初めに中東産原油を中国に運ぶためにチャーターしたVLCC運賃はワールドスケール(WS)205で過去最高となる見込み。制裁発動前はWS67だった。
航行距離が最も長い米国からアジア向けのVLCC運賃は今週、過去最高の1400万ドルを記録した。
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