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経済米中対立で世界貿易が縮小、リーマン危機後最低に OECDが成長率見通し引き下げ
経済協力開発機構(OECD)が19日に世界の成長率見通しを下方修正した背景には、世界の貿易量の収縮があり、米中貿易摩擦の影響が地球規模に拡散している構図がある。写真は中国の天津港。2018年11月8日撮影(2019年 ロイター/提供写真)
経済協力開発機構(OECD)が19日、世界の成長率見通しを下方修正した。その背景には、世界の貿易量の収縮があり、米中貿易摩擦の影響が地球規模に拡散している構図がある。日銀も19日に公表した声明文で海外経済リスクの高まりに言及したが、貿易量の縮小に歯止めがかからないと、日本経済も年末から年明け以降、減速感が強まりかねない。政府が策定すると見られる経済対策の規模が、膨らむ可能性も出てきた。
東京市場はあまり注目しなかったが、OECDが公表した2019年の世界経済成長見通しは2.9%と08年─09年のリーマン危機直後以降で、最低となる。
昨年の実績値の3.6%から大幅に低下し、世界経済の後退の節目と見られている3%を割り込む予測は、最近の世界経済の急減速を鮮明にしていると言えるだろう。
OECDのチーフエコノミスト、ローレンス・ボーン氏は、貿易摩擦が当初の見通しの一時的な要因から、長期の新たな貿易関係として存在してきたことを大きな原因として挙げる。
世界貿易動向をフォローしているオランダ経済政策分析局によると、世界貿易の総量は2018年10月を直近のピークとして下がり続け、19年6月の指数は123.2と前年6月の124.9から1.4%低下している。
OECDのボーン氏は、こうした貿易摩擦の悪影響が、企業の投資抑制に結びついているとも指摘している。
OECDによると、貿易摩擦の当事国である米国の成長率が今年が2.4%、20年が2.0%に減速。中国は今年が6.1%、20年は5.7%に減速すると予想した。
貿易縮小継続なら、日本の経済対策規模膨張も
日銀も19日公表の声明文で「このところ、海外経済の減速の動きが続き、その下振れリスクが高まりつつあるとみられる」と指摘した。
ただ、日銀は消費や設備投資が直ちに腰折れするとは見ておらず、内外の経済情勢を注視するスタンスとみられる。
とは言え、世界の貿易量の縮小傾向に歯止めがかからない場合、日本経済にとっても、中期的に悪影響が及びかねない。
OECDは今年の日本の成長率を5月時点の0.8%から1.0%に上方修正したが、20年は0.6%に減速すると予測する。
政府は、10月の消費増税後の経済状況を見つつ、必要と判断すれば、適切に対応するとの姿勢を示してきた。
外需減速が一段と声明になった場合、年末にも検討を進める予定だった補正予算の編成を中核にした経済対策の規模を膨らますことも、選択肢の1つになるだろう。
OECDの経済見通しは、日本にとっても「警笛」になったのではないか。
[東京 20日 ロイター]
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