最新記事

韓国

韓国最高裁、サムスン李副会長の執行猶予判決を破棄 高裁差し戻しで実刑の可能性も

2019年8月29日(木)19時57分

韓国最高裁は29日、サムスン電子副会長、李在鎔被告に対する執行猶予付きの二審判決の一部を破棄し、ソウル高等裁判所に差し戻した。写真は在任当時の朴槿惠前大統領と談笑する李在鎔サムスン電子副会長。韓国メディアより YTN News / YouTube

韓国最高裁は29日、韓国の前大統領、朴槿恵被告への贈賄罪などに問われたサムスン・グループ経営トップのサムスン電子副会長、李在鎔被告に対する執行猶予付きの二審判決の一部を破棄し、ソウル高等裁判所に差し戻した。

最高裁は、高裁の賄賂の定義が狭すぎたと判断。サムスン・グループが朴被告の友人の娘の乗馬訓練のために寄贈した馬3頭を賄賂と認定すべきだと主張した。

今回の判決を受け、市場では李被告がサムスン電子の経営に専念できなくなるとの見方が浮上。サムスン電子株は一時2%値下がりした。

今回の判決で李被告が実刑判決を受ける可能性も出てきた。

同被告は二審で懲役2年6カ月、執行猶予4年の判決が言い渡され、釈放された。被告は不正行為を否定、被告と検察の双方が最高裁に上告していた。

韓国では執行猶予は懲役3年以下の場合にのみ認められるため、差し戻し審で量刑が重くなり、懲役3年を超える判決が出た場合、被告は直ちに収監されることになる。

同被告の弁護士は記者団に「大統領の要請を受けて行った財政支援が賄賂に当たると判断した最高裁の判決は遺憾だ」と述べた。

複数のアナリストは、李被告が収監されても、サムスン電子の経営に大きな影響はないと指摘。同社には、部品、携帯端末、家電の各部門に専任の最高経営責任者(CEO)がいる。

サムスン電子株を保有するHDCアセット・マネジメントのファンドマネジャー、Park Jung-hoon氏は、李被告が収監されても経営や業績への影響は少ないと指摘。サムスンや韓国が直面する厳しい現実を踏まえると、近く大統領恩赦の対象となる可能性があるとの見方も示した。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


韓国最高裁の差し戻し決定を伝える韓国メディア YTN News / YouTube


20250401issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月1日号(3月25日発売)は「まだ世界が知らない 小さなSDGs」特集。トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏大統領、イスラエルのヒズボラ攻撃「正当化できず」

ワールド

ロシア「エネ施設攻撃停止から撤退も」、ウクライナ違

ビジネス

英小売売上高、2月は前月比+1.0 非食品好調で予

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、貿易戦争巡る懸念でも目標達成へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中