FRBパウエル議長、利下げ確約せず トランプはツイッターで「口撃」
トランプ氏のツイートで米中通商協議を巡る先行き不透明感が一段と高まる中、パウエル議長は講演で、英国が欧州連合(EU)から強硬離脱(ハードブレグジット)する可能性やドイツ経済の減速、香港での政治的緊張などが海外要因として挙げられるものの、短期的な混乱にとらわれず、米経済の動向に集中することが求められると指摘。「通商を巡る動きが見通しにどのように影響するのか注視するとともに、2%の物価目標と力強い雇用の推進に向け政策を調整していかねばならない」と述べた。
ただパウエル議長がどのような道筋を選ぼうと、FRB内に見解の相違があることは21日に公表された7月のFOMC議事要旨のほか、ジャクソンホール会合に参加しているFRB当局者の発言から明白だ。
この日はセントルイス地区連銀のブラード総裁が、9月のFOMCで50ベーシスポイント(bp)の利下げについて「活発な議論」が行われると発言。景気後退入りの前兆とされる長短金利の逆転について懸念しているとも述べた。同総裁はこれまでも低インフレに対応するために利下げが必要との見解を示している。
一方、クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、追加利下げの必要性についてまだ納得していないと表明。「経済が現状を維持すれば、現時点では何も変更しないことを主張する公算が大きい」と述べた。ただ、「経済に対する下向きリスクには留意しており、(FRBが担う)2つの責務に常に注力していることを確実にしたい」との考えも示した。
FRBは7月のFOMCで8対2で25bpの利下げを決定。ブラード総裁とメスター総裁との間の見解の相違は、FRB内に存在する広範な意見の隔たりを象徴しているに過ぎない。FRBに利下げの圧力を掛け続けているトランプ大統領の存在も事態を複雑にしている。
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