最新記事

アメリカ経済

FRBパウエル議長、利下げ確約せず トランプはツイッターで「口撃」

2019年8月24日(土)08時15分

トランプ氏のツイートで米中通商協議を巡る先行き不透明感が一段と高まる中、パウエル議長は講演で、英国が欧州連合(EU)から強硬離脱(ハードブレグジット)する可能性やドイツ経済の減速、香港での政治的緊張などが海外要因として挙げられるものの、短期的な混乱にとらわれず、米経済の動向に集中することが求められると指摘。「通商を巡る動きが見通しにどのように影響するのか注視するとともに、2%の物価目標と力強い雇用の推進に向け政策を調整していかねばならない」と述べた。

ただパウエル議長がどのような道筋を選ぼうと、FRB内に見解の相違があることは21日に公表された7月のFOMC議事要旨のほか、ジャクソンホール会合に参加しているFRB当局者の発言から明白だ。

この日はセントルイス地区連銀のブラード総裁が、9月のFOMCで50ベーシスポイント(bp)の利下げについて「活発な議論」が行われると発言。景気後退入りの前兆とされる長短金利の逆転について懸念しているとも述べた。同総裁はこれまでも低インフレに対応するために利下げが必要との見解を示している。

一方、クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、追加利下げの必要性についてまだ納得していないと表明。「経済が現状を維持すれば、現時点では何も変更しないことを主張する公算が大きい」と述べた。ただ、「経済に対する下向きリスクには留意しており、(FRBが担う)2つの責務に常に注力していることを確実にしたい」との考えも示した。

FRBは7月のFOMCで8対2で25bpの利下げを決定。ブラード総裁とメスター総裁との間の見解の相違は、FRB内に存在する広範な意見の隔たりを象徴しているに過ぎない。FRBに利下げの圧力を掛け続けているトランプ大統領の存在も事態を複雑にしている。

[ジャクソンホール(米ワイオミング州) ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中