最新記事

日米通商交渉

米国産の余剰トウモロコシ購入へ トランプ=安倍、通商交渉で原則合意し9月下旬に署名

2019年8月26日(月)11時00分

トランプ米大統領は日本との通商交渉が原則合意したことを明らかにした。9月の国連総会前後に署名することになるという。写真は会談する安倍晋三首相(左)とトランプ大統領。8月25日、フランスのビアリッツで撮影(2019年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ米大統領と安倍晋三首相は25日、日米通商交渉が原則合意したことを明らかにした。9月の国連総会前後の署名を目指す。

トランプ大統領と安倍首相はこの日、主要7カ国(G7)首脳会議が開かれているフランスのビアリッツで会談した。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表によると、農業、工業、デジタル分野がカバーされる。米国が日本製の自動車に課している関税は、今回の合意で変更はない。

トランプ氏によると、日本は、余剰になっている米国産トウモロコシを購入することに同意したという。安倍首相はトウモロコシ購入の「可能性」に言及し、民間セクターが対応すると述べた。

トランプ氏は日米の原則合意を評価。安倍首相との共同記者会見で「大きな取引だ。われわれは原則合意した。農業従事者にとって素晴らしいものだ」と語った。

安倍首相は通訳を介して、通商合意の文言や合意内容の詰めなど、実務レベルでやるべきことがまだ幾分あると指摘。その上で、9月末の国連総会前後の署名実現に向け、楽観的な見方を示した。

ライトハイザー氏は、日本が約140億ドル相当の米国産農産物を輸入していることに言及。今回の合意により、70億ドルを超える規模の市場が開放されるとし、牛肉、豚肉、小麦、乳製品、ワイン、エタノールといった製品が恩恵を受けるとの見解を示した。

また、米国産牛肉を含めた関税の引き下げと、非関税障壁の撤廃につながると語った。工業や電子商取引分野に関しては詳細に言及しなかった。

トランプ氏はとりわけ、余剰トウモロコシに関する取引で農業従事者を支援する計画に満足を示し、安倍首相が民間セクターが購入に対応すると強調し、購入が絶対的ではないことを示唆したとみられることは気にしない様子だった。

トランプ氏は「日本の民間セクターは公的セクターに良く耳を傾ける。米国とは少し違うようだ」と述べた。

一方の安倍首相は、トウモロコシの購入が既成事実と受け止められないようにしたい姿勢をうかがわせつつも、害虫によって国内の一部農産品が影響を受けており、特定の農産品を購入する必要性が生じていると指摘。民間セクターによる米国産トウモロコシの早期購入を支援する緊急措置を講じる必要があるとの認識を示した。

*内容を追加しました。

[ビアリッツ(フランス) 25日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中