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MMT提唱のケルトン教授「インフレ抑制不要なら消費増税は意味ない」

2019年7月16日(火)17時45分

財政拡大論である「現代貨幣理論(MMT)」で知られる米ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授は都内で講演し、消費税率引き上げは、インフレ圧力を減らすのが目的ならば適切だが、インフレ圧力を減らす必要がない場合は経済的意味を成さないと話した。写真は2011年8月撮影(2019年 ロイター/Yuriko Nakao)

財政拡大論である「現代貨幣理論(MMT)」で知られる米ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授は16日都内で講演・会見し、消費税率引き上げは、インフレ圧力を減らすのが目的ならば適切だが、インフレ圧力を減らす必要がない場合は経済的意味をなさないと話した。

日本、MMTの多くが正しい点を証明

MMTは、自国通貨発行権を保有する政府は物価上昇率が過度に高まらない限り積極的な財政支出を重視する理論。通貨発行権を持つ国家は紙幣を印刷すれば借金を返せるため、財政赤字で国は破綻しないと説明する。

ケルトン教授は日本の経済政策に関し、「日本がMMTを実践していると述べたことはない」ものの、「財政赤字が金利上昇をもたらさないことや、量的緩和が急激な物価上昇をもたらさないことなど、MMTが正しい点を世界に証明した」と評価。よりMMTと整合的な形で「財政支出を拡大していれば、今よりも高い経済成長率を達成していた」と指摘した。

日本経済に必要な処方箋に関し「経済成長のけん引役は消費なので、消費者心理の安定化が最も重要」と強調した。

MMTに関し、財政赤字を問題視しない、紙幣の無限印刷を容認しているとの見方は誤りで、インフレにならない範囲で財政支出の規模を考える理論だと説明した。

利上げで物価上昇の可能性も

もっとも適正な物価上昇率の水準については、賃金の上昇率との相対的な関係で決まる、と述べ、日米欧が掲げている2%の物価目標は「恣意的に設定されたものかもしれない」と述べた。

ケルトン氏は、通常のマクロ経済学の想定とは異なり、中央銀行による利上げは、1)借り入れコストの上昇をカバーするため企業が値上げする、2)国債保有者の利子収入上昇により支出が増える──ことから、物価を押し上げる可能性がある、とも説明した。

講演に先立ちケルトン氏は、自民党の西田昌司参院議員、安藤裕衆院議員、公明党の竹内譲衆院議員らと衆議院議員会館内で会食した。

*内容を追加しました。

(竹本能文 編集:内田慎一)

[東京 16日 ロイター]


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