忍び寄る「大学倒産」危機 2000年以降すでに14校が倒産している
最初の大学倒産は1950年、設立わずか1年だった
それでは、このようなダメージによって経営が困難に陥ると、大学はどうなるのであろうか。民間企業であれば「倒産」という言葉が思い浮かぶが、大学が倒産するということはあるのであろうか?
営利企業とは異なり、教育的・社会的使命を担った大学に倒産のイメージが合わないと感じる読者も多いかもしれないが、筆者の調査では2000年以降に経営破綻を主な理由として廃止、または、民事再生法を申請した四年制の私立大学は14校にのぼる。
さらに、学生募集停止を発表して、在学生が全員卒業すると廃止となる見通しの大学もある。なお、文部科学省では、「倒産」という経済用語は使用せず、(1)大学の「廃校」措置、(2)大学の志願者の「募集停止」等の言葉を使用しているが、実際には「倒産」による大学法人の解散である。
大学倒産の歴史をさかのぼると、1950年の久我山大学の事例にたどり着く。同大学は1949年に設立されたものの、翌1950年には早くも学生募集を停止し、同年12月28日に廃校が認可されている。設立後わずか1年で廃校となり、当然ながら一人も卒業生を出していない。
久我山大学の倒産については当時の衆議院文部委員会でも取り上げられ、「私立学校法ができてからの最初のケースになるのではないか」という指摘と同時に、「いくら経営が困難だからといつて、途中でもつていきなりやめるのは不当だ」という、今日の大学倒産の問題にも通じる指摘が記録されている(衆議院会議録情報 第009回国会 文部委員会 第3号)。
その後も大学の統廃合の事例は存在するが、いずれも系列大学への統合や経営困難以外の理由による発展的な合併がほとんどである。それだけに、2000年に入ってからの相次ぐ大学倒産はやはり異常事態と言わざるを得ない。なぜ、これらの大学は倒産したのであろうか。
※後編:倒産する大学の4つの特徴:地方、小規模、名称変更、そして...
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