インドと日本の「非欧米型」イノベーションから学べること
●ありえない時計
世界最薄の防水腕時計を考案し、開発・生産している国といえばスイスか日本と思うのではないだろうか。実はインドなのだ。しかも設立されて10年と少ししか経っていない会社「タイタン」が、その偉業を成し遂げたのである。
タイタンがその挑戦を始めたとき、彼らはスイスの時計職人たちのところへ赴き、アドバイスを求めた。しかし、職人たちは口を揃えて、そんな時計はありえないと言った。超薄型の時計も、防水時計ももちろん作れるが、その両方を同時に実現するのは無理だという。タイタンは結局、声高にその技術を誇ることもなく、控えめな態度で偉大な技術的ブレークスルーを成し遂げた。4年かかったが、時計製造の常識を覆すエンジニアリングの画期的大勝利だった。
●注目される眼科病院
インドの地方都市マドゥライのある医療機関が、経済的に恵まれない人の眼科治療に関するイノベーティブなビジネスモデルを作り上げた。アラビンド眼科病院が、従来の眼科手術の効率を10段階は引き上げるテクニックを開発したのだ。このビジネスモデルは、何百万人もの貧しい視覚障害者に、無料もしくはほとんど無料で手術を行うことを可能にした。それでいて病院は手術によって収益の40%を生み出している。
アラビンド眼科病院は1年に20万件もの白内障の手術を行っている。これは同病院が世界最大の眼科学の研究施設であることも示している。なにしろ、ハーバード大学やジョンズ・ホプキンズ大学の学生が体験医療実習やトレーニングに訪れているのだ。
【参考記事】インドのしたたかさを知らず、印中対決に期待し過ぎる欧米
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