私、フォーチュン500企業のCEOになりました
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何か特殊な能力を求めているわけではない
実務経験のない若者にグローバル企業のCEOを体験させる。この実に壮大かつチャレンジングなプログラムについて、ドゥアズCEOは「才能のある若者が経験を積み、キャリアの階段を昇るサポートをするための素晴らしい機会」と説明する。
「現在の第4次産業革命時代では、大学や専門学校で学べる理論や技術などのハードスキルと同じくらい、先行きの見えない変化に対応していくソフトスキルが重要になります。たとえば、想像力や行動力、コミュニケーション力、多様な文化を受け入れる力や戦略的に思考する力など、そうしたソフトスキルは実務経験のなかでしか身に付けることができません。ですからアデコでは、2015年以降だけでも5000名を超える若者にインターンシップや職業実習の機会を、そして80名に対して『CEO for One Month』のポジションを世界各地で提供してきたのです」(ドゥアズ氏)
昨年の「CEO for One Month」では、日本代表の久乗亜由美さんがグローバル代表に選出され、ドゥアズ氏とともにグローバルCEOの業務を体験している。そんな久乗さんに続く最終ステージ進出とはならなかったものの、今年は国際基督教大学の弘田百合子さんが日本代表として、アデコ株式会社のCEO業務を1カ月間体験した。大学では国際関係学と人類学を学び、所属するミュージカルサークルで舞台監督や俳優として活躍する大学3年生だ。
プロジェクトに参加した感想を弘田さんに聞くと、「ここで得た経験は本当にたくさんありますが、"CEOとは何か、次代を担うリーダーにはどのような資質が必要なのか"といったことを、実際に日本でCEOを務める川崎さんから直接学べたことが一番だと思います」と話してくれた。
「『CEO for One Month』では自らCEOとして行動することが求められるので、ずっと川崎さんについて回るわけではありませんでした。それでも、1日に何時間もCEOがマンツーマンで自分のために話をしてくれる。そんな経験は普通では絶対にできないですからね」(弘田さん)
弘田さんが「CEO for One Month」に応募した理由は、「社会に出て自分が何をできるのか、自分が将来何をやりたいのかが見えなかったから」。1カ月間のCEO体験を経たいまは、「新しい価値を生み出せる人間になりたい」という夢の輪郭が見えてきたという。
「私は中学や高校で飛び抜けて成績が良かったわけでもないですし、大学でも私より優秀な人はたくさんいました。そんな私がなぜ『CEO for One Month』になれたのかというと、勇気を持って応募したから。ただそれだけだと思うんです」
そんな弘田さんの言葉を受けて、アデコ株式会社の川崎健一郎社長は「昨年の久乗さんも弘田さんも、日本代表に選ばれたときはまず"どうして私が"と驚いていましたからね」と微笑む。
「このプロジェクトで我々が求めているのは、何か特殊な能力ではありません。求めているのは、自分ができるかどうかではなく、チャンスを見つけたら一歩を踏み出してみる勇気です。久乗さんや弘田さん、そして5名のファイナリストたちに共通する素晴らしさは"一歩を踏み出す勇気を持っていた"ということ。日本の若い人たちを見ていると、日常的に多くの情報に触れているため非常に幅広い知識を持っています。グローバルに見ても日本の若者のポテンシャルは素晴らしく、きっかけがあればどんどん成長することができる。そうした自分がまだ知らないポテンシャルを確認する意味でも、ぜひ『CEO for One Month』のようなプログラムに積極的に参加してもらいたいですね」(川崎氏)
「働くすべての人々にとっての"better work, better life"の実現」をビジョンに掲げるアデコグループが実施する、次世代リーダーたちのポテンシャルを引き出す「国境なきインターンシップ」。全世界の応募総数である約5万4600名に対して、今年の日本でのエントリー数は約1800名だった。ぜひ来年の「CEO for One Month」には、より多くの日本の若者たちに、勇気を持ってエントリーしてもらいたい。
Text:西田嘉孝
Photo:石島邦彦