脆弱企業の破綻容認に動く中国、ドル建て債のデフォルトも
国際社会の要請に応え、ビジネスの透明性を高めるための企業選別が進む
11月11日、中国のセメント会社、中国山水水泥が、12日に満期を迎えるオンショア債務の返済ができないとして会社清算を申請することを決定した。アナリストは、中国当局が脆弱な企業の破綻を容認する動きを強めている兆候だと指摘している。北京で10月撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
中国のセメント会社、中国山水水泥<0691.HK>が、12日に満期を迎えるオンショア債務の返済ができないとして会社清算を申請することを決定した。アナリストは、中国当局が脆弱な企業の破綻を容認する動きを強めている兆候だと指摘している。
同社は、業界全体の設備過剰の打撃を受け、資金調達が困難になっていた。
中国の格付け会社、大公国際資信評価の格付け責任者Warut Promboon氏は「誰もが救済されるわけではなく、非投資適格等級の企業に景気減速が影を落としていることを示すものだ」と指摘した。
業界の設備過剰抑制に向け、当局は市場がより正確に信用リスクを織り込むことを望んでおり、体力がある企業とそうでない企業の選別が一層進むとアナリストはみている。
「人民銀行は流動性を潤沢にし続ける方針で、強い企業は低コストの資金調達ができるが、リスクがある借り手は借り換えが難しくなるだろう」とPromboon氏は述べた。
中国の債券市場は、大半が政府の保証付きという前提の下で取引されており、リスクを織り込むことは難しい。
中国市場で初めてデフォルト(債務不履行)に陥ったのは2014年のチャオリ・ソーラー・エナジー(上海超日太陽能科技)。それ以降、自力でのデフォルト回避を余儀なくされる企業の間で債務の返済遅延が散見されている。
今年4月には保定天威集団(訂正)が国有企業初のデフォルトとなった。
ドル建て債券もデフォルト
中国山水水泥が11日に香港取引所に提出した文書によると、デフォルトとなるのは子会社の山東山水が発行した20億元(3億ドル超)相当のオンショア債。
このデフォルトにより、2020年償還のドル建て債5億ドルの繰上償還を促すトリガー条項が発動され、同債券もデフォルトとみなされた。
これらの債券は10日に額面1ドルに対し0.80ドル近辺で取引されていたが、同社の発表を受けて11日には0.45ドルに急落。その後は0.65ドル近辺で推移している。