最新記事

米経済

米求人件数過去3番目の高水準、12月利上げが後押し

採用側が求める人材と求職者の希望の「ミスマッチ」の可能性を指摘する声も

2015年11月13日(金)11時25分

11月12日、9月の米求人件数が前月比14万9000件増の552万6000件となった。写真はボストンのクリーニング店で掲出された求人広告。2010年9月撮影(2015年 ロイター/Brian Snyder)

 米労働省が12日発表した9月の求人労働移動調査(JOLTS)では、求人件数が季節調整済みで前月比14万9000件増の552万6000件となった。

 求人件数は過去3番目の高水準。求人率は3.7%と、前月の3.6%から上昇した。

 ただ、採用件数は504万9000件と、前月の508万1000件から減少。採用率は3.5%と、前月の3.6%から低下した。

 求人件数が増加する一方で採用件数が減少していることは、適切な技能を持つ人材の採用が困難になっていることを示している可能性がある。

 RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)のシニア米国エコノミスト、ジェイコブ・オウビナ氏は、採用側が求める人材と求職者の希望の「ミスマッチ」が顕在化している可能性があると指摘。同氏はこうした現象は数年前からみられていたとしている。

 求人1件当たりの失業者数は1.4人となり、前月の1.5人から減少し、2007年以来の低水準となった。解雇率は1.2%と、前月から横ばい。

 バークレイズ(ニューヨーク)のエコノミスト、ジェシー・ハーウィッツ氏は、「労働市場におけるスラック(需給の緩み)の縮小に加え、雇用が継続的に拡大していることから、連邦準備理事会(FRB)は景気見通しに対する自信を深め、12月会合での利上げにつながる公算も出てきた」としている。

 9月の求人は主に運輸、公共サービス、教育、飲食業などに集中。専門職、企業向けサービス、公的機関などの求人もみられた。

[ワシントン 12日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 7
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 8
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 9
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中