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スキャンダルFIFAのスキャンダルがウォール街に飛び火?
不正資金のやりとりに欧米の大手銀行が絡んでいた疑いが浮上
FBIのゴール! 汚職疑惑でブラジル・サッカー連盟(CBF)のホセ・マリア・マリ元会長をトップにした新聞の見出し NACHO DOCE-REUTERS
サッカー界を揺るがした大スキャンダルの衝撃がウォール街にも広がろうとしている。米司法省は先週、FIFA(国際サッカー連盟)の副会長2人を含む14人を贈収賄などの疑いで起訴したと発表した。
起訴状は、不正資金のやりとりに口座や取引が使われたとして、アメリカを中心に十数社の大手金融機関を名指ししている。担当検事は、金融機関に「問題のある行為があったかどうか判断するのは早計だが、捜査の対象に含まれるだろう」と述べた。
さらに起訴状は、被告と共謀者が「アメリカの金融システムに大きく依存していた」と指摘。大手銀行の米国内外の支店の名前を挙げ、資金の流れを詳細に説明している。
例えば、スポーツマーケティング会社トラフィック・グループの子会社は、シティバンクのマイアミ支店の口座から1100万ドルを、JPモルガン・チェースのニューヨーク支店の北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)の口座に送金。見返りに大規模な大会におけるビジネスの権利を得たとされる。ほかにもバークレイズやHSBCなどの名前が並んでいる。
もっとも、今すぐ大規模な金融スキャンダルに発展することはなさそうだ。FIFAの腐敗は根深いとはいえ、金融制裁下にあるイランとの違法取引や、メキシコの麻薬密売組織のマネーロンダリング(資金洗浄)に関して、大手銀行が処罰されたケースとは違うだろう。FIFAの幹部は「テロリストや麻薬密売人ではない」と、マネーロンダリングに詳しい弁護士のマイケル・マクドナルドは言う。
問題は、巨額の裏金が自分たちの口座を経由していることを、金融機関がどこまで知っていたかだろう。サッカー界を揺るがす激震に、ウォール街もしばらく眠れない夜が続きそうだ。
[2015年6月 9日号掲載]