最新記事

ニュービジネス

急成長するコロラドのマリファナ起業家たち

パイからリップクリーム、マッサージオイルまで市場が急拡大、業界団体や業界紙も生まれる活況ぶり

2015年5月25日(月)13時34分
マーシー・クレイター

医療用も デイケア・センターでマリファナを栽培する職員 Jonathan Alcorn-REUTERS

 大学を卒業して半年後、仕事を探していたジュリー・ベーリンガーには2つの選択肢があった。1つは幼稚園の先生になること、もう1つは、大麻(マリファナ)ビジネスに参入すること......。

 彼女が住むコロラド州では昨年1月、全米で初めて娯楽用のマリファナの販売が解禁された。娯楽用大麻はワシントン州やアラスカ州でも解禁になり、医療用は23州で合法化されている。ベーリンガーは急成長を遂げつつあるマリファナビジネスへの参入を決めた。「決断を下した後は、2度と振り返らなかった」と、ベーリンガーは先週開催された「マリファナビジネス会議・エキスポ」で語った。

 ベーリンガーの会社「スウィートグラスキッチン」では、医療用と娯楽用両方のマリファナ製品を扱っている。最初はたった1つのマリファナ調剤薬局から始めた会社が、今ではマリファナ入りのブラウニーや季節のパイ、カップケーキまで作るようになっている。

「公民権運動のような歴史の流れになる」

 ベーリンガーは、マリファナ産業のパイオニアの1人だ。マリファナは連邦レベルではまだ禁じられているため、乗り越えなければならない障害も多い。例えば、マリファナ製品を発送する際は、フェデックスのような宅配業者や郵便は使えず、工場から販売店へ直接運ばなければならない。それでも悔いはないとベーリンガーは言う。「マリファナはただハイになったり快感を得るためのものじゃない。参政権や公民権運動のように大きな歴史を作ることだ」

 新しい産業なので古い男社会が存在せず、女性が参入しやすいことも魅力の1つだと、業界団体の「ウーマン・グロウ」の共同創業者、ジャスミン・ハップは言う。彼女によれば、マリファナ産業が成功するためには、家族の健康を預かる女性の参加が不可欠だ。

 グルテンや精糖を含まず、農薬も一切使わない健康マリファナ製品を扱う店もある。バターやシリアル、グラノラ・バーや種子のミックスなど、州内の800店舗で250種類の製品を扱う「ナチュラル・エディブルズ」だ。炎症や不安を抑え、リラックスするのに役立つという。

 業界紙マリファナ・ビジネス・デイリーの調査によると、食品と健康、美容分野は今後のマリファナ市場で最も大きな成長が期待できる分野だという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

現代製鉄、米工場建設を積極検討

ビジネス

英財政赤字、12月は市場予想以上に膨らむ 利払い費

ビジネス

トランプ氏の製造業本国回帰戦略、ECB総裁が実効性

ワールド

中国、国有金融機関に年収上限設定 収入半減も=関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 8
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 9
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中