来年の流行色「マルサラ」はくず肉の色?
パントン色彩研究所が発表したカラー・オブ・ザ・イヤーには「自然な力強さがある」と宣伝されているが
好きか嫌いか パントン番号18-1438のマルサラはこんな色 Pantone
毎年12月になると、パントン色彩研究所(米ニュージャージー州)が来年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表する。デザイナーや消費者が好んで使用したり、着たり、買ったりするであろう色を予測するのだ(パントンは国際標準として使用されている色見本帳の製造企業)。
先週発表された2015年の色は「マルサラ」。パントンの報道資料によれば、マルサラは「自然な力強さのある、素朴なワインレッド」だ。今年の色だったラディアントオーキッド(淡い紫色)が創造力や革新性を刺激するのに対し、「マルサラは私たちの心と体を豊かにし、自信や強さをみなぎらせる」と、パントン色彩研究所のリアトリス・アイズマンは言う。
この色の由来は、イタリアのマルサラワイン。ワインにアルコールやブドウ果汁を加えて熟成させるものだ。「元になったワインのように、この上品な色は豊かに熟した食を体現している。温かく、それでいておしゃれで普遍的な魅力があり、ファッションや美容、工業デザイン、家具やインテリアの世界で容易に応用できる」とパントンは指摘する。
男子学生の寮の浴室を思い起こさせる
誰もがカラー・オブ・ザ・イヤーに強い関心を持つわけではないが、ネットなどのデザインコミュニティーでは大々的に取り上げられて話題になっている。
しかし色に対する感覚は主観的なものだし、そもそも好みは人によって違う。ニューヨークのカット誌は、マルサラを「不快」な色と表現した。アトランティック誌の「パントンのカラー・オブ・ザ・イヤーの問題」と題した記事は、マルサラは一部の人には「さびて薄汚れた男子学生の寮の浴室」を思い起こさせる、「または長い間空気にさらされて乾き、レンガのようになった血だ」と書いている。