アップルなど欧米企業がイラン市場に先鞭
イランは「世界に残った最後の巨大未開拓市場」。欧米の制裁解除を待って参入したい企業が続々
明日のテヘラン? ベルリンのアップルストアでiPhone6を手にする顧客 Hannibal-Reuters
イランのユーザーも近い将来iPhoneを手にできそうだ。アップルは欧米諸国による対イラン経済制裁の緩和を待ってイラン市場に参入するため、現地の企業と交渉に入っていると、複数の関係者が明かした。
欧米諸国とイランの関係改善の兆しが見える中、イラン進出に向けてと駒を進める企業はアップルだけではない。今月中旬にロンドンで開催された「第1回ヨーロッパ・イラン・フォーラム」には、ヨーロッパ企業の経営陣が多数参加し、制裁解除後の投資と取引に関するセミナーは大盛況だった。
「イランは世界に残された最後の巨大な未開拓の新興市場だ」と、イランに本拠を置く投資会社ターコイズ・パートナーズの幹部ラミン・ラビは英メディアに語っている。オバマ政権はISIS(自称イスラム国、別名ISIL)対応でイラン政府に協力を打診しており、イランの出方次第では関係改善に弾みがつきそうだ。
米企業はすでに本格的な取引再開に向けて小手調べを行っている。航空機・兵器大手のボーイングが先週発表した第3四半期(7〜9月期)の納入実績には、イラン航空への飛行マニュアル、データ、航空図の売却が記載されている。ボーイングがイラン航空と取引を行ったのはイランの米大使館人質事件が起きた79年以来初めてのことだ。パソコンメーカーのデルも制裁が解除され次第、イラン市場で販売を開始するために現地の業者と交渉を行っている模様だ。
アップルは多くの国で直営店のアップルストアを展開し、ユーザーに直接サービスを提供する戦略をとってきた。だがイランでは独占販売契約を結んだ現地企業にほぼ販売を任せることになりそうだ。アップルがイラン市場参入に向けて動き出したのは昨年5月以降。オバマ政権がソーシャルメディアを通じた民主化運動を支援するため、携帯電話やノートパソコンなど消費者向け電子機器のイランへの輸出にゴーサインを出してからだ。