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中国経済

1年経って閑古鳥の上海自由貿易区

2014年10月29日(水)15時48分
シャノン・ティエジー

12の新試験区も設置間近

 そんな状況のなか行われた李首相の視察は、試験区が中央政府の肝煎りのプロジェクトであることをあらためて印象付けた。

 財経の記事によれば、試験区の当局者は李に、外国企業の投資を例外的に制限・禁止する業種を定めた「ネガティブリスト」の大幅な縮小案を提示。李は市場の成長余地を広げるため、今後もリストの項目を減らしていく必要があると述べたという。

 李は外国企業が進出しやすい環境づくりも重視している(ロイターによれば、試験区に進出した企業のうち外国企業が占める割合は、7月時点で12%にすぎなかった)。

 試験区では国有企業と民間企業が平等な扱いを受けていると自画自賛する上海の当局者に対し、李はそれだけでは不十分だと指摘した。外国企業と国内企業が同じ土俵の上に乗らなければならないと述べたという。

 もちろん、試験区が失敗したと断ずるのは時期尚早だ。「いったん改革が本格始動すれば、後の変化はすぐに起きるはず」と、香港のHSBCの外為ストラテジスト王菊(ワン・チュー)はフィナンシャル・タイムズに語っている。

 中国政府は今後、さらに12の試験区を開設する計画だ。基本的には上海式を踏襲するものの、それぞれ異なる政策や手法を試すことになっている。

 中央政府のトップからあらためてハッパを掛けられた上、新設される試験区から追い上げを受ける日も近い。上海も本気で改革に取り組む潮時だ。

[2014年10月28日号掲載]

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