最強のドイツ経済に落日の足音?
マークイットはサービス、製造、建設の3部門の購買担当者に調査票を送り、その結果を指数化している。「調査結果はユーロ圏経済の停滞を浮き彫りにした」と、同社のチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソンは言う。「域内生産と需要が伸び悩めば、雇用の伸びも再び鈍化し、企業が価格競争に走るため物価は下がり続け、必然的にデフレ懸念が高まる」
今年第3四半期(7〜9月期)のユーロ圏の成長率は「せいぜい」0.3%止まりだろうと、ウィリアムソンは見ている。ドイツの0.4%が底上げしても、フランスをはじめ他の加盟国の停滞が足を引っ張ると予想されるからだ。「第4四半期にはさらに成長が鈍化しそうな気掛かりな兆候もある」
その兆候とは、製造部門の新規受注が15カ月ぶりに減少に転じたこと。加えてサービス部門の企業の向こう1年間の景況感見通しもドイツ経済に翳りが差したために悪化している。ウクライナ危機とそれによるロシアの制裁への懸念が広がる中、単一通貨圏全体の経済的な苦境に対する懸念も消えておらず、こうした不安がユーロ圏の経済に及ぼす影響は深刻化しつつあると、ウィリアムソンは警告する。「厳しい向かい風の中で、ECBの景気刺激策が功を奏せず、今でも弱い需要がさらに冷え込む危険性がある」