最新記事

テクノロジー

外国企業排除を狙う中国産OSの限界

ウィンドウズやアップル製品の購入を政府機関に禁じる一方で、自国産OSのもくろむ中国政府

2014年9月17日(水)15時01分
マット・スキヤベンザ

外国製テクノロジーへの依存は断ち切れるか Reuters

 外国製テクノロジーへの依存から自国を脱却させようと躍起になっている中国政府が、新たな試みに出た。中国独自のOSを導入すると発表したのだ。

 10月にも誕生するとみられる中国産OSはデスクトップ向けで、その後はタブレットや携帯電話にも対応する予定だという。工業情報化部の指揮の下、中国トップレベルのソフトウエアエンジニアである倪光南(ニー・コアンナン)が開発に参加する。

 この発表は、IT大手各社が中国市場への足掛かりに苦戦するさなかに行われた。中国政府は5月、マイクロソフトに対し、政府機関のコンピューターでウィンドウズ8を使用するのを禁止すると通達したばかり。8月にはマックブック・エアを含むアップルの10製品について、政府機関での購入を禁じた。

 外国のIT大手に向けられた中国の対抗心は明らかだ。「グーグルやアップル、マイクロソフトと戦える環境を整えているところだ」と、倪は言う。
果たして中国産OSはシェアを伸ばせるだろうか。

 ここ数年、中国は成功した外国企業を模倣して世界のインターネットサービスの「中国版」を次々と生み出してきた。09年から禁止されているフェイスブックに代わって中国版SNSの開心網(カイシンワン)が人気となり、同じく禁じられているツイッターの代わりに新浪(シンラン)微博(ウェイボー)は6億人以上のユーザーを獲得している。

 グーグルの前には検索エンジンの百度(バイドゥ)が立ちはだかり、かつてアップルが独占していたスマートフォン市場では小米(シャオミ)の製品が躍進する。
それでもOSとなると話は簡単ではない。中国のコンピューターの推定92%がOSにウィンドウズを採用し、小米の製品を含むスマートフォンの85%でグーグルのアンドロイドが使われている。そのシェアは圧倒的だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中