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生命倫理遺伝子の私物化に米最高裁が鉄槌判決
ヒト遺伝子を特許で囲い込もうとする製薬会社の試みに「待った」
命を守れ ミリアッド社に対する最高裁の判決を待つ報道陣 Jonathan Ernst-Reuters
癌研究や遺伝子検査にとって大きな前進だ。米連邦最高裁は先週、自然に発生するヒト遺伝子を「発見」したからといって特許の対象にはならないという判決を下した。これからは、誰かが先に見つけた遺伝子でも自由に研究や製品開発が行えるようになる。
この裁判は、ミリアッド・ジェネティクス社が保有するBRCA1、BRCA2という2つの家族性乳癌・卵巣癌の原因遺伝子の特許について争われたもの。「ミリアッドは何もつくり出してはいない」と、判決文は特許の有効性を否定した。
複数の研究によれば、ヒト遺伝子の20〜40%はどこかの企業が特許を所有。他の研究者たちは、特許侵害で訴えられることを恐れて研究ができなくなっていた。「これでどんな遺伝子も制限なく研究できる」と、ニュージャージー・メディカルスクールのジェフリー・ローゼンフェルド助教は言う。とりわけミリアッドは、ライバルの研究に対し警告状を送るなどの強硬姿勢で知られていた。
BRCA1は、女優のアンジェリーナ・ジョリーに乳房切除・再建手術を決断させた遺伝子。ジョリーと同じ検査を受けたいと希望していた女性たちにとっても判決は朗報だ。
この検査はこれまでミリアッドの独占で、3000ドル以上の費用が掛かった。今後は他の企業も参入するので安くなるだろう。複数の検査機関を受診してセカンドオピニオンを聞くこともできる。企業の儲け主義に対する良識の勝利だ。
[2013年6月25日号掲載]