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企業ヤフーのメイヤーCEO、1年目の成績表
業績はぱっとしないが、企業イメージを回復し社内ムードを変えた手腕は評価すべき
前進あるのみ メイヤーの2年目が正念場となるのは間違いないが Beck Diefenbach-Reuters
企業の決算報告に関する電話会議といえばたいてい退屈で、途中で憂さ晴らしにツイッターでもしないとやってられない。だが、先週のヤフーの第2四半期決算報告会はひと味違っていた。
まず、CEO就任から1周年を迎えたマリッサ・メイヤーが、電話会議ではなくウェブキャストで生配信を行った。前例のない試みだ。
さらに決算の報告というより、メイヤーが持論を訴えている感じだった。業績は芳しくなかった。第2四半期の売り上げは前年同期比で7%減。最大の収益源であるディスプレイ広告事業は11%落ち込んだ。
ともあれ、こうした数字はメイヤーのプレゼンでは「添え物」でしかなかった。彼女の真の狙いは、ヤフー再建は一夜にして成らず、もっと時間が必要だと市場を説得することだった。
私も最初は懐疑的だった。ウェブキャストはメイヤーがこれまでやってきたことを象徴しているように見えたからだ。派手さはあるが中身がない。
つまり、ヤフーが抱える問題に真正面から取り組むのではなく、その問題から私たちの目をそらそうとしているように思えた。だがメイヤーが話し始めてから、あることに気付いた。彼女にとっては企業イメージがすべてなのだ。
ヤフーは長年、投資家やライバル企業からIT戦争の敗者と見なされてきた。メイヤーは、ヤフーに対する悪評は同社が抱える問題の表れではなく、問題そのものだと捉えていた。
だからこそ、彼女はこれまで企業イメージの回復に全力を投じてきた。人気ブログサービスのタンブラーを11億ドルで買収して話題を呼んだことはその一例だ。ヤフーのイメージアップが最優先、業績は後から付いてくるとメイヤーは主張する。
わずか1年で離職率は激減
彼女は再建計画を「連鎖反応」と呼んでいる。ヤフーにまず求められるのは、優秀な社員の確保だ。人材が集まれば、良質な商品も生まれる。良質な商品はヤフーへのアクセスを呼び込み、いずれ売り上げも伸びる。メイヤーいわく「人から商品、そしてアクセス、増収へ」。
IT企業のCEOは皆、自社の企業文化をきちんと形成することが重要だと語る。社員が職場に行きたがらないようなひどい雰囲気の会社は絶望的だ。この業界で成功するには、面白いアイデアが生まれるような雰囲気が不可欠だ。
メイヤーはこの1年で、そんな社風をもたらすことができたと実証した。彼女がCEOに就任して以来、ヤフーの離職率は60%近くも下がったという。さらに今年ヤフーに入社した従業員の12%は出戻りだ。
連鎖反応の第2段階も実を結びつつある。より効率的かつ生産的な社風は、写真共有サイト「フリッカー」のリニューアルなど、さまざまな商品の見直しにつながった。メイヤーによれば、ヤフーのアクセス数は今年に入って着実に上向いている。
問題は、ヤフーが今後も上昇気流に乗り続けられるかだ。メイヤーはこの1年で、ヤフーの商品の多くをライバル企業と同等のレベルに引き上げた。とはいえ今後、画期的なアプリやサービスでライバル企業を出し抜けるかは未知数だ。
ヤフーの社風が改善されたのも、グーグルの元副社長であるメイヤーというビッグネームがCEOに就任したことへの好意的な反応といえるかもしれない。もしそうなら、業績の低迷がまだ続くなか、社員の士気をいつまで高く保てるだろうか。
張りぼての成功は永遠には続かない。2年目が厳しくなるのは間違いない。ただこの1年に関して言えば、メイヤーは合格点に値する。
© 2013, Slate
[2013年7月30日号掲載]