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ユーロ危機優等生スロベニアがキプロスの余波でピンチ
破綻した地中海諸国と違い、スイスのような堅実さを誇りにしてきたスロベニアの無念と危険
「第2のキプロス」? 金融危機で景気後退に見舞われ、給与カットに抗議する公務員 Srdjan Zivulovic-Reuters
中欧の小国スロベニアは1991年に旧ユーゴスラビアから独立を宣言して以降、スイスのような堅実さを自負してきた。ギリシャやイタリア、キプロスのように理性を欠き、自ら危機を招いた地中海諸国とは違うというわけだ。
それだけに、自国が「第2のキプロス」と呼ばれ始めたときの無念さは想像に余りある。「国民は心配している」と、スロベニア選出の欧州議会議員、タニヤ・ファヨンは言う。「独立後の20年を振り返っても、今ほど悲観的だったことはない」
銀行不安に端を発したキプロス危機は先月下旬、ユーロ圏の金融支援でひとまず落ち着いた。しかし今度はその余波が、スロベニアを脅かしている。
ユーロ圏がキプロス支援の条件として大口預金カットなどの負担を強いたため、同じく銀行不安を抱えるスロベニアでは預金口座の凍結や引き出し制限がいつ行われるか分からないという恐怖が広がっている。取り付け騒ぎが起これば、国家が破綻しかねない。
人口200万人のスロベニアは欧州新興国の模範だった。04年にEUに加盟してから5%以上の成長となり、個人所得も一部の欧州先進国を上回った。07年には旧共産圏の国として初めてユーロ加盟も果たした。
それが翌年の世界金融危機で脱線した。09年の経済成長率はマイナス7.8%、昨年も2.2%のマイナス成長だった。銀行は好景気の頃のリスクの高い投資のせいで90億ドルの不良債権を抱えている。
IMFの試算では、スロベニア政府は今年38億ドルを国外から調達する必要があるが、「第2のキプロス」不安で市場からの借り入れコストは過去最高水準。10年物国債の利回りは6.3%と、財政破綻のめどになる7%に近づきつつある。
もっとも、スロベニアの状態はキプロスより良好だとエコノミストたちは言う。スロベニアの銀行資産はGDPの140%だが、キプロスは700%だった。経済の金融部門への依存度もはるかに小さい。政府債務のGDPに対する比率はキプロスの93.1%に対して59.5%だ。
先月誕生した新政権が計画どおりに銀行改革を進めれば、危機は回避できると専門家は言う。ただしそれは、預金者がパニックを起こさなかった場合。キプロスで悪しき前例を作ったユーロ当局の短慮が悔やまれる。
From GlobalPost.com特約
[2013年4月16日号掲載]